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INDEX
その1MBのマークの意味
その2ヴィルヘルム・マイバッハ
その3 MBの商用車
その4 MBのクラス分け
その5 W124、W126などの意味
その6 ビークル・データ・カード
その7 車体番号の読み方
その8 エンジン番号の調べ方
その9 部品を注文する時に必要なもの
その10 日本国内の正規代理店
その11 各国別仕様の違い
その12 シルバーアローとは
その13 AMGとは
その14 オールド・タイマー
その15 designo
その16 ウエスタン自動車
その17 ポルシェとMBの関係
その18 英国ダイムラーとの関係
その19 MBのディーゼルエンジン
その20 OEMについて
その21 縦目
その22 ハネベン
その23 ダルマ


その1:MBのマークの意味
エンブレム  MBのマークは有名な3ポインテッドスターの周りを月桂冠が取り囲んだものですが、もともとは三つ星マークがダイムラー社のメルセデスのマークで、月桂冠がベンツ社のマークでした。両社の合併後にマークも統合されたわけですが、現在では三つ星マークが主体になっている事から合併時の力関係が均等ではなかった事がわかります。ちなみにこの三つ星の意味はかつて独軍隊に多大な貢献をしていたダイムラー社らしく陸、海、空を表したもので、事実ダイムラー社は戦闘機や軍艦のエンジンも製造していました。

その2:ヴィルヘルム・マイバッハ
マイバッハ  ヴィルヘルム・マイバッハ(Wilhelm Maybach,1846〜1929)はゴッドリーブ・ダイムラーのよき親友であり、仕事上のパートナーでもありました。マイバッハは優秀な技術者で、ダイムラー社設立以前に世界で初めて4サイクルエンジンの開発に成功した「ガスモトローレン・ファブリーク・ドイツ」社に ダイムラーと共に勤めていましたが、1882年にダイムラーとマイバッハは同社を辞職、後にダイムラー社を共同で設立します。ベンツ社に次いで1886年に世界で2番目の原動力つき自動車(4輪では世界初)を完成させたダイムラー社ですが、その功績はマイバッハの存在をなくしては語れません。そして現在、その偉大なる技術者の名前を受け継いだ史上最高の自動車がデビューしようとしています。1997年に各国のモーターショーで発表された「マイバッハ」は単なるコンセプトカーではなく、あくまでも実用化を目的とした試作車なのです。このマイバッハについては「Gallary」のページで紹介しています。

その3:MBの商用車
Coca-Cola  日本ではMBは乗用車メーカーとして有名ですが、実際には商用車の生産台数も非常に多く、特に6トンを超える大型トラック部門では年間約30万台の生産数を誇る、世界最大のメーカーなのです。そのほかにもワンボックスからスキー場で使われる圧雪車やダンプトラック、大型バスに至るまで多くの商用車および特殊車両を製造しており、写真はメキシコで使われているコカ・コーラのデリバリートラックです。

その4:MBのクラス分け
 ご存知の通り、94年以降メルセデスの乗用車ラインナップはCクラス、Eクラス、Sクラス、SLクラス、CLクラス、Aクラス、Mクラス、Vクラス、Gクラスの各クラスに分けられています。しかしそれ以前から社内的には(及び業界では)これらのクラス名で各モデルを呼んでいました。Cクラスは190E以降始まった「コンパクト」シリーズの頭文字。Eクラスはドイツ語でセダンを表す「エステート」の頭文字(ワゴンのTは「ツーリング・エステート」の頭文字)、Sクラスは「スペシャリティ」、SLは「スーパーライト」、CLは「クーペ・ラグジュアリー」、からそれぞれ命名されました。(それ以外のA、M、Vなどの意味についてメルセデス日本に問い合わせたところ「特に意味はありません」との答えでした。本当かな・・・^^;)
 ちなみに96年以前は300(3L)とか560(5.6L)といった排気量を表す数字の後ろにEとかSELの文字がくっついていたわけですが、この時の「E」はインジェクター仕様を表しており、エステートという意味ではありませんでした。その他「C」がつくとクーペ、「D」がつくとディーゼル、「L」がつくとロングバージョンと一応意味はあったのですが、現在のクラスわけに比べるとだいぶわかりにくいですね。

その5:W124、W126などの意味
 MBに限らず車には車体、エンジン、ミッションなどにそれぞれ形式名が与えられています。W124やW126といった呼称は車体の形式名で、124は86年〜95年のEクラス、126は82年〜92年のSクラスを示します。普通は排気量を示す車名で300Eとか560SELといった呼び方をしますが、中には車体(年式)が全く違うのに同じ車名の場合などがあるので、車体形式名で呼んだ方がわかりやすい場合が多いのです。例えばE320という車名はW124にもありますし、W210にもあります。しかし124と210では部品にほとんど互換性がありませんしスタイルも別物ですから、124とか210といった方が相手に意志を伝えやすくなります。色々なパーツカタログやこのHPも車種を表すのに殆ど形式名を使ってますので、早く憶えましょう(笑)詳しくはギャラリーを見て下さい。
 ちなみにW124などの呼称は正式なものではありません。MBの車体番号の最初の部分(WDB124・・・など)を略した「通称」です。しかしもともとはMB社の社内で普及した呼称で、半ば公式に使われていることも事実ですし、ディーラーなどで部品を注文する際にもこれを使っています。以前は全ての車両を「W○○○」と表していたので、日本では一般的にWで全ての車両を表すことが多いのですが、80年代以降はより車体形式の分類を明確にするため、セダン=W、クーペ=C、ワゴン=T or S、ロードスター(SL)=Rがそれぞれ頭文字として使われるようになりました。ちなみにエンジン形式はMが頭文字になります。

その6:ビークル・データ・カード
Vihicle Data Card

 ビークルデータカードは取り扱い説明書と共に車両に付属しています。ここには車体番号やエンジン番号はもちろん、ボディの色番号や出荷時に履いているタイヤまで記載されています。部品を注文する際にはこのカードを持参すれば適合部品の検索も簡単です。ただし中古車や並行輸入車の場合はこのカードが付属していない場合も多いですね。

その7:車体番号の読み方
 MBの車体番号には多くのインフォメーションが含まれています。まず下の例を見てください。

WDB 123 033 1 1 \\\\\\
WDB 124 030 1 A \\\\\\

 上段は比較的古い車両に使われていた表示で、下段が最近のものです。まず最初の「WDB」はダイムラーベンツ(DB)の自動車(Wagen)という意味で、次の3桁が車両形式です。その次の3桁はバージョン及び排気量を示し、同排気量であれば初期型の方が数字が若くなってます。その次の1桁はハンドルの位置を表し、「1」は左ハンドル、「2」は右ハンドルです。その次の1桁は年式によって変わりますが、ここが数字であれば変速形式を表し「0」ならMT、「1」ならATとなります。ローマ字の場合は生産国(工場の所在地)を表します。A、B、C、D、Eはジンデルフィンゲン工場、F、G、H、Tはブレーメン工場という事になります。最後の6桁は各バージョンごとの製造番号です。
 車体番号をもとに製造年月日を調べることも出来ます。その場合は「ダイムラー・クライスラー日本」に専用電話(03-5545-6190)がありますので、こちらで車体番号を告げれば調べてもらえます。


その8:エンジン番号の調べ方
 ディーラー車の場合は付属のビークルデータカードを見ればわかります。またエンジンルームなどに輸入代理店によって車体番号、エンジン番号などを記したプレートが後付けされている車両もあるのでここを見てもわかります。もしくはディーラーに電話して車検証に記載されている車体番号を告げれば教えてくれるでしょう。が、しかし問題は並行輸入車です。並行車の場合はビークルデータカードもだいたい付属していませんし、エンジン番号を記したプレートもありません。エンジン本体の刻印を読み取るしかないのです。これも見やすい場所に刻印してあるエンジンはいいのですが、M117などのV8エンジン(W126など)はブロックの後ろ側(コックピット側)に刻印してあるので読み取るのは大変です。整備のついでに工場などで頼むのが得策でしょう。

その9:部品を注文する時に必要なもの
 MBの部品を注文する際には必ず車体番号とエンジン番号が必要になります。これは車両の仕様を特定するためで、国別に様々なバージョンが存在し目に見えないマイナーチェンジを頻繁に行うMBならではのことです。現在MBの正規販売店のパーツセンターにはオンラインで適合パーツと在庫の一覧を検索するシステムが導入されていますが、このシステムは車体番号とエンジン番号の両方を入力しないと正確な検索が出来ません。実際には車体番号だけで適合パーツを特定できることも多いのですが、特にエンジン、ミッション関係のパーツを注文する際にはエンジン番号が重要になってきます。

その10:日本国内の正規代理店
 MBの乗用車部門における日本の正規輸入代理店は、1999年1月1日に設立した「ダイムラー・クライスラー日本ホールディング株式会社」(DCJ)です。これは1986年に設立された「メルセデス・ベンツ日本株式会社」(MBJ)が、本国での合併に伴って組織再編したものです。MBJの設立以前は「梁瀬自動車株式会社」及び「ウエスタン自動車株式会社」が正規輸入代理店でしたが、1986年1月12日のMBJの設立に伴って輸入代理権が移行し、ヤナセは正規販売店の一つとなりました。現在正規販売店はヤナセとMBJ直営のシュテルンのほか、鈴木自動車、宮園オートなどがあります。詳しくはダイムラー・クライスラー日本のHPをご覧下さい。またAMG・メルセデスとゲレンデ・ヴァーゲンについては、2000年まで「AMGジャパン株式会社」が輸入・卸売業務を行っていましたが、これも2001年1月1日よりDCJに移管しています。商用車部門については「エムビーコマツ自動車販売株式会社」が輸入業務を担当しています。

その11:各国別仕様の違い
 日本では正規輸入車、いわゆるディーラー車(以下D車)のほかにも並行輸入車が数多く輸入されています。これらの並行車は日本仕様ではなく、ヨーロッパ仕様や北米仕様だったりしますから、当然D車とは異なる部分があります。エンジンの仕様、ミッションの仕様はもちろんの事、内外装にも違いがありますし場合によっては日本では正規に発売されていない車種があったりします。ですからこれらの並行車は日本仕様車のデータしか持っていないディーラーでは修理出来ない場合もあり、注意が必要です。この件についてはトラブルバスターズの部屋で詳しく説明します。

その12:シルバーアローとは
W25/Silver-Arrow W25 Formula Racing Car

 第2次世界大戦以前の1930年代は、MBのモータースポーツにおける黄金時代でした。そんな中で1934年に登場したW25型フォーミュラーカーは当時最新の技術を投入した高性能車両でしたが、レース出場の直前になって僅かに規定重量をオーバーしていることが発覚。当時のドイツのナショナルカラーである白に塗られた車体の塗装を剥がす必要に迫られました。結果、金属の地肌が露出したままのW25は連戦連勝。シリーズチャンピオンの座をものにし、その上ドイツのナショナルカラーも白からシルバーへと変更されてしまったのです。この当時レースで活躍したMBのレースカーたちはいつしかシルバーアロー(銀色の矢)と呼ばれるようになり、1955年のル・マンでの悲劇を最後に伝説となったのでした。
 当時のナショナルカラーは国際レースに出場する国ごとに定められており、ドイツが白→シルバー、イタリアが赤(フェラーリの赤はこういう意味なのです)、フランスが青(ルノー・アルピーヌはみんな青ですよね)などとなっていました。ちなみに日本が国際レースに参加するようになるのは戦後のことですが、その時のナショナルカラーは白でした。


その13:AMGとは
AMG C43 AMG C43 V8

 AMGはもとダイムラー・ベンツ社のエンジニアだったハンス・ウェルナー・アウフレヒトがエルハルト・メルヒャーというビジネスパートナーを迎えて1967年に操業した会社で、現存する最高の車(MB)をベースに更に優れた車両を開発することをコンセプトとしています。1988年からはMBの正式なパートナーとしてレースに共同参戦するようになり、1990年にはダイムラー・ベンツ・グループの一員として正式に事業提携、そして1998年にはダイムラー・ベンツ社に買収され、AMG・メルセデス社となりました。
 MBベースのチューナーとしてはほかにもロリンザーやブラバスなどが有名ですが、それらのチューナーとAMGが違う点は、他のチューナーがあくまでMBの完成車両をベースとするのに対し、AMGは設計の段階から車両開発に参加し、車両の生産もMBからパーツ供給をうけて自社工場で全て行っている点です。そのためAMGは他のチューナーよりローコスト、ハイパフォーマンスの車両を生産出来るのです。またAMGは以前からMBの市販車両についても技術協力も行っており、W124の300E-24Vに搭載された3.2L-DOHCエンジンもAMGによって開発されたものでした。
 ちなみにAMGの日本での正式呼称は「エー・エム・ジー」です。ドイツ語読みしても「アー・エム・ゲー」ですから「アー・マー・ゲー」と読むのは大きな間違いです。正しい発音をして優越感に浸りましょう(笑)


その14:オールド・タイマー
 ダイムラーベンツ社では現行車両から3世代以上前のモデルをオールドタイマーと呼び、これらのモデルの維持・保存に積極的に活動しています。ドイツの本社には1993年に設立されたオールドタイマーセンターという一般ユーザー向けのレストア(復元)専門部門があり、世界中の顧客からレストアの注文を受けるとともにオールドタイマー車の販売も行っているのです。日本国内でも正規工場による純正復元を望む声が多かったことから、港北のウエスタン・コーポレーションに1995年からダイムラー・クライスラー社正規指定のオールドタイマーセンターが開設されました。

オールドタイマー・センター(日本)
〒224-0044 神奈川県横浜市都筑区川向町1117
(株)ウエスタン・コーポレーション内
オールドタイマー・センター・レセプションルーム
TEL:045-473-6766

その15:designo
 「designo」とはドイツ本社で行っているフルオーダーシステムです。オプションが自由に設定できるほか、数百色(!)のカラーサンプルの中からボディカラーはもちろんのこと内装のパーツ1つ1つまで全て自由な配色でオーダーできるのです。

その16:ウエスタン自動車
 ウエスタン自動車株式会社とはヤナセグループの一社で、実質的にはヤナセそのものです。1952年から1986年までは輸入業務をウエスタン自動車が担当し、顧客への販売をヤナセが担当していました。そのため、古い年式のMBの場合は車体番号プレートにウエスタン自動車の名前が刻印されています。現在ではウエスタン・コーポレーションという社名で港北(神奈川県)ヤナセに併設され、パーツやアクセサリーの販売、旧車のレストア業務(オールドタイマーセンター)、スキー場用のMB製圧雪車の販売などを行っています。

その17:ポルシェとMBの関係
E500 E500

 ほとんどの人が全く別のメーカーだと思っている(実際そうなんですが ^^;)ポルシェとMBというドイツの2大自動車メーカーですが、実はポルシェ社の創始者でありフォルクスワーゲン・ビートルの生みの親でもある初代フェルディナンド・ポルシェは元ダイムラーのエンジニアで、ダイムラー社とベンツ社が合併してダイムラー・ベンツ社が誕生した時には技術・設計部門の責任者を勤めていたのです。一見ライバルに見える両社ではありますがお互いの技術提携も盛んで、90年代の傑作と言われるW124の500E(E500)はその開発から製造にいたるほとんどをポルシェが引き受けていました。両社がお互いに似たような車種を開発しないのは、実は両社の話し合いで決まっているのではないかという噂もありますが、確証はありません(笑)


その18:英国ダイムラーとの関係
 イギリスにはジャガーの姉妹ブランドであるダイムラーというメーカーがあります。この英国ダイムラー社は、もともとベンツ社と合併する以前のダイムラー・メルセデスの子会社であり、イギリスにおけるダイムラー・メルセデスの代理店でした。しかしその後ドイツ本社との関係に亀裂が生じ、英国ダイムラーは独立した会社として現在のダイムラーを築きました。

その19:MBのディーゼルエンジン
 MBのディーゼルエンジンの優秀さは有名ですが、ヨーロッパでは日本やアメリカよりも、経済的なディーゼルに対する人気が高く、MBでも全てのクラスにディーゼルエンジンを設定してきました。80年代初頭からターボが標準装備されるようになり、90年代以降は排出ガス値も非常に低く、かつガソリンエンジン搭載車とほとんど変わらない加速性能、室内の静寂性を備えた優秀なディーゼルエンジン車両を完成させました。日本仕様でも高出力で環境性に優れる、直接噴射式のCDIエンジン搭載車が、2000年より導入されています。

その20:OEMについて
 自動車メーカーは全ての部品を自社生産するわけではなく、それぞれの分野に適したメーカーに部品の製造を依頼する、いわゆるOEM(オリジナル・エクイップメント・マニファクチャー)制が普通ですが、MBも例外ではなく様々なメーカーから部品供給を受けています。なかでもBOSCH社との関係は深く、多くの電子部品、フィルター類、インジェクターなどがBOSCHの製品です。またこれらの純正部品と全く同じものがOEM製品としてBOSCH社からも発売されており、これらは純正部品よりも安く購入する事が出来ます。(詳しくはトラブルバスターズで紹介しています)
 BOSCH社のほかにはACコンプレッサーで日本電装、ヨークほか、ショックアブソーバーでビルシュタイン、ザックス、タイヤでブリジストン、ミシュランほか、バッテリーでナショナルなどがOEM供給しています。

その21:縦目
250 280

 1950年代から70年代初頭までのモデルで、縦長のヘッドライトカバーを装備したモデルのことを差します。主にW108、109、111、113、114、115が「縦目」という愛称で呼ばれ、個性的な顔つきは今なお世界中にファンがいます。この後の世代(W116、123など)から横長のヘッドライトカバーに変わるため、これらの世代を区別するのに「タテベン」「ヨコベン」と呼ぶ人もいます。


その22:ハネベン
190 190

 50年代にアメリカで流行り始めた羽のようなテールフィンを採用したモデルの愛称で、1950年代後半から60年代前半に生産された220b、190cなどがこれに当たります。当時は「MBが流行に飛び付いた」という事で賛否両論だったそうです。


その23:ダルマ
300カブリオレ 300Cabriolet

 ハネベン以前の初代220シリーズや300シリーズなど50年代に作られたモデルの愛称です。現在のようなボンネット/フェンダー一体型ボディが登場する前の過渡期のスタイルと言えます。名前の由来は・・・ご覧の通りです(笑)