商業的にも大成功を収めたMB初のコンパクトモデル、W201の後継機種として92年秋(日本発表は93年)に発表されたW202は、新しいMBのラインナップ整理に伴い、Cクラスというネーミングが与えられました。この2代目新コンパクトシリーズは、201の弱点だった室内空間の狭さと生産コストの高さを克服することが至上命題であり、その結果ボディサイズは一回り拡大され、日本の5ナンバー枠には収まらなくなりましたが、販売価格にして約100万円のコストダウンを実現しました。
拡大され、より快適となった室内に限らず、フロントサスペンションにはダブルウィッシュボーンを採用し、より高い運動性能を実現。W201と同じくレース車両のベースとなった202は、ドイツGT選手権での総合優勝をMBにもたらしました。また車両制御システムとしてはスリップ時のトラクションを確保するETSが装備され、滑りやすい路面での対スリップ性を大幅に向上させたほか、安全面でも運転席+助手席エアバッグを標準装備。高剛性な3層構造のBピラーを採用し側面衝突時の剛性も向上しました。
エンジンは201とは全く異なる、先にW124に採用されていたDOHCエンジンを全車に採用。高パワーと低燃費の両立を実現しています。発売当初はC220、C280、C250Dというラインナップでしたが、翌年にはC200を発表。95年にはそれまでの220に変わって最高出力は同じながらトルクアップしたC230が登場し、同時にステーションワゴン(日本仕様はC230のみ)も発表されます。このコンパクト初のワゴンは、歴代Eクラスワゴンで採用されてきたセルフレべリングショックこそ不採用(メーカーオプション)となりましたが、それ以外の装備はEクラスワゴンに準ずるものでした。翌96年には新型の1気筒3バルブ、SOHC-V型エンジンが登場。それに伴いC230はセダン、ワゴンともにC240へ、C280も名称こそ同じですが新型のV6エンジンに変更されました。
W201は80年代後半から標準モデル以外にいくつかのラインが設定されていましたが、W202もクラシック、エスプリ、エレガンス、スポーツといったラインが設定されています。クラシックはスタンダードな装備、エスプリは専用パターンのファブリックシートにローダウンスタイル、エレガンスはクロームパーツの追加と本革内装、スポーツはスポーツショックによるローダウン(25mm)とホイールのインチアップなど、それぞれ特徴的な内容となっていますが、日本仕様はクラシックラインに準じた標準設定のみとなっています。
202の最初の大規模なマイナーチェンジは、ワゴンがラインナップに加わった95年から96年にかけて行われました。まずATがそれまで長年MBに採用されてきた4段油圧制御から、新型の5段電子制御へと変更。それに伴いCANシステムも採用されました。C200はエンジンを一部改良し、136psへ出力がアップします。その後97年にはそれまでのETSに変わって上位車種と同じASRを採用。BASも標準装備となりました。エクステリアではスポイラーやグリルのデザイン変更によるフェイスリフトがされています。また1998年モデルでは直噴ディーゼルエンジン搭載車もラインナップに加わりました(日本未発売) |