クーペモデルは歴代のミディアムクラスにもラインナップされていましたが、W124以降、W210にモデルチェンジしてからはクーペモデルはラインナップから省かれていました。しかし新たにMBはコンパクトであるW202のプラットフォームをベースに全く新しいクーペモデルを開発。それが96年に発表された202と同じホイールベース、同じサスペンションを持つCLKです。CLKという名前はクーペのC、ライトのL、ドイツ語のコンパクト(Kompakt)のKがキーワードとされていますが、実際には上級機種であるCLのコンパクト版という解釈が正しいでしょう。
202と共通のプラットフォームでありながらCクラスとは呼ばれないCLKは、そのフロントマスクが示す通り、これまでのEクラス・クーペの後継機種に位置づけされます。しかしEクラス・クーペに比べて車体を小型、軽量化したことで、Eクラスのそれがどちらかというとラグジュアリー方向だったのに対し、よりスポーティーなクーペ本来の性格が与えられたと言えます。これはCLKに似た意匠を持つグループFIA GTカー「CLK-GTR」が存在する事からも、MBがよりスポーティーなクーペを目指してCLKを開発したであろう事は、想像に難くありません。しかし一見W210と共通部品を使っていると思われるCLKのフロントマスクも実は全て別部品になっており、ヘッドライトやフロントグリルも全くの別物です。
ラインナップはC200と同じ2L-DOHC.直4を搭載したCLK200、SLKにも採用された2.3L-DOHC直4+スーパーチャージャーのCLK230Kompressor(98年現在日本では未発売)、E320と同じ3.2L-SOHC.V6のCLK320の3種類。また98年には上記3種類のエンジンに加え、2Lコンプレッサーエンジンを含む、計4種類のカブリオレも発表(日本発売は未定)されました。このカブリオレの幌はSLKに採用されたヴァリオ・ルーフではなく、W124カブリオレやR129と同様の電動開閉式キャンバストップで、パッシブ・セーフティ機能として転倒時に自動的に飛び出すロールバーを備えている点も同様です。また99年からは4.3L-V8エンジンを搭載したCLK430も発売されますが、日本発売は未定となっています。
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