2代目コンパクトに当たるW123は、W114/115の後継機種として1976年1月に発表されました。ボディスタイルは、フロント部分が先にモデルチェンジを終えたSL(R107)、Sクラス(W116)の流れを引き継いだ、完全なフラッシュサフェイスとなり、W114/115と比べるとかなりモダンなスタイルになりました。しかし基本的なシャーシ構造はW114/115のそれを引き継いでおり、サスペンション形式はフロント:Wウィッシュボーン/リア:セミトレーリングのまま。リアにサブフレームが備わっている点も同様です。ただしホイールベースはW114/115より45mm延長され、それに伴って全長が45mm長く、全幅は16mm拡大されました。トレッド幅はフロントで44mm増の1488mm、リアで6mm増の1446mmと主にフロントのトレッドが拡大され、操安性が向上しています。
発売当初のラインナップは全てセダンで、SOHCキャブ仕様の200、230、250、DOHCキャブ仕様の280、DOHCインジェクター仕様の280Eのほか、ディーゼル車も200D、220D、240D、300Dの4種類が用意され、最初から豊富なラインナップでスタートしました。これらのモデルに搭載されていたエンジンは、基本的にW114/115の後期型に搭載されていたものと同じですが、大型化して重くなった車体を支えるために圧縮比の見直しによるトルクアップがはかられ、最高出力は各エンジンともに若干ダウンしています。
W123セダンの登場後もクーペモデルはW114のまま継続していましたが、77年3月にはW123のクーペモデルがラインナップに加わります。W114のクーペモデルがW114セダンと同じボディサイズだったのに対し、W123のクーペモデルは全長、ホイールベースともにセダンより85mm短縮され、よりスポーティーなものとなりました。また翌78年にはMB初の量産型ステーションワゴンがW123のラインナップに追加。これはMBがユーザーの熱烈なラブコールに答えた結果実現したもので、「Touring Estate」の頭文字「T」がモデル名に付け加えられました。ボディの全長はセダンと同じですがカーゴスペースは広大で、荷室フロアにオプションのサードシートを装着することで7名乗車も可能。またアニマルネットや荷室を覆うシートなど、多彩な装備は好評で、後のW124Tに引き継がれていくことになります。
Tシリーズはボディ後半部分が荷室になっている以外は基本的にセダンと共通でしたが、リアサスペンションにのみ上級車種に採用されていたセルフレべリング機能を追加。重い荷物を積み込んでも車体が沈みこまないようにという、MBらしい繊細な配慮がなされていました。ラインナップも豊富に用意され、230T、250T、240TD、300TDのほか、高出力なM110エンジンを搭載したインジェクター仕様の280TEや、80年からはハイパワーディーゼルの300TD-Turbo(300TDT)も発売されます。高級ワゴンとしての地位を築き世界中で絶賛されたW123Tですが、日本への正規輸入車にガソリン仕様はなく、ディーゼル仕様の300TD(79〜81)と同じくディーゼルターボの300TDT(82〜85)のみでした。
W123シリーズは1980年にマイナーチェンジを迎え、220Dがラインナップから消滅。200D、240D、300Dはそれぞれ若干パワーアップし、新たに300Dターボ(300DT)と300TDTも登場しました。またガソリンエンジンの200と230は新設計のエンジンになり、同時に230はキャブ仕様からインジェクター仕様の230Eへと進化。外装は特に変更はありませんが内装に若干の変更が見られ、ウッドパネルが装着されるようになりました。その後W124の登場に伴いセダンは85年モデルまで、クーペ及びワゴンは86年モデルで生産を終了しています。
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