Type108/109(1965〜1972)
発売時参考価格:不明

108.jpg

Chassis
Data
全長
(mm)
全幅
(mm)
全高
(mm)
ホイール
ベース
(mm)
トレッド
(mm)
サスペンション
形式
重量
(kg)
4900
5000(SEL)
1810 1440(W108)
1415(W109)
2750
2850(SEL)
F:1482
R:1490
F:Wウィッシュボーン
R:スイングアクスル
1440(250S)
〜1740(6.3)

Engine 250S 250SE 300SE(L)(#1)
280SE(L)
300SE(L)(#2)
SOHC.直6
2496cc
130ps
SOHC.直6
2496cc
150ps
SOHC.直6
2996cc
170ps
SOHC.直6
2778cc
160ps
300SEL
6.3
280SE(L)3.5
300SEL 3.5
280SE(L)4.5
300SEL 4.5
SOHC.V8
6332cc
250ps
SOHC.V8
3499cc
200ps
SOHC.V8
4520cc
225ps

 1965年はメルセデスの大きなモデルチェンジシーズンでした。SL(R113)と600(W100)を除く全てのモデルが搭載エンジンの変更などを行い、ラインナップが一新されたのです。そんな中で、220シリーズと呼ばれたW111セダンはW108/109へとバトンタッチしました。W111セダンの特徴的なディテールだったテールフィンは完全に姿を消し、エッジの効いた現代的なスタイルへと進化。ボディサイズそのものも大きくなりました。しかしクーペ及びカブリオレは従来のW111シャーシのまま残され、W108/109の2ドアボディは最後まで登場しませんでした。

 発売当初のラインナップはキャブレター仕様の250S、インジェクター仕様の250SE、300SE、ロングバージョンの300SELの4機種。これらはそれぞれ先代の220、300系の発展型であり、出力も向上しています。またブレーキは全車種ともに全輪ディスクブレーキになりました。

 従来通り300系は250系に比べて豪華な仕様とされ、エアサスも採用されましたが、先代と異なるのはこれらの違いがモデル名だけでなく、シャーシナンバーで明確に分けられていることです。即ち純粋なコイルサスペンションを持つ250系と、その後継モデルである280系がW108。エア+コイル併用のサスペンションを持つ300系はW109というシャーシナンバーになりました。しかしこのサスペンションと外装の細かな違いを除けば両者に大きな差はなく、事実上同じ車体であると言えます。

 1968年にW108/109はビッグマイナーチェンジをします。それまでの2.5L、3.0Lエンジンはキャブレター仕様の250Sを除いて廃止され、新たに2.5Lエンジンのボアを拡大して開発された2.8Lエンジンを全車種に採用。それに伴いW108は250S、280S、280SE、280SELというラインナップになり、W109は300SELのみになりました。この新しい300SELは3.0Lエンジンではなく、280系と全く同じ2.8Lエンジンを搭載することになったわけですが、前述した通りエアサスという特有のアイデンティティを示す「300」というモデル名は残されました。しかしながら排気量縮小によるパワーダウンは否めず、最高出力は3.0Lエンジンに対して約10psダウンの160ps/5500r.p.m.となっています。

 W109/300SELが2.8Lエンジンに切り替わった約半年後、1968年6月のジュネーブ・ショーにおいて、W109シャーシの新しいモデルが発表され、人々を驚愕させました。それがW108/109の最上位に位置づけされるモンスターマシン、300SEL 6.3です。このモデルは先に登場していたMBの最上級モデル、600に搭載されていたアルミブロック&ヘッドの6.3L-V8エンジン(250ps、51.0mkg)を300SELのシャーシに搭載したもので、600に比べて700Kgも軽い重量を生かし、最高速度220Km/h、0-100Km/h加速6.5秒という当時としては驚異的な性能を発揮。ブレーキは強大なパワーを受け止めるべく、全輪ベンチレーテッド・ディスクブレーキが標準装備となっていました。この6.3の性能は当時発売されていた5シーターサルーンで世界最速だったのは言うまでもなく、ポルシェ911Sなどのスポーツカーの性能をもはるかに凌ぐものだったのです。また1967年にMB専門チューナーとして誕生したAMGは、操業当初に300SEL-6.3をベースに初めてレースカーを製作。スパ・フランコルシャン24時間耐久レースにおいてレース初出場ながらも総合2位でフィニッシュし、一躍世界にその名をとどろかせるようになりました。

 1969年には唯一2.5Lエンジンを積んでいた250Sが消滅。同時に新しい3.5L-V8エンジン搭載モデルが登場します。この3.5Lエンジンは6.3Lエンジンとは異なり、鋳鉄シリンダーブロックの標準的なものではありましたが、90度バンクのV8という基本的には6.3と同設計のエンジンで、200psという優れた数値を示しました。ラインナップとしてはまずW109/300SEL 3.5が登場。翌年にはコイルサスのW108/280SEL 3.5、280SE 3.5も登場しました。

 1971年には3.5Lエンジンのボアを拡大した4.5L-V8エンジンも登場。280SE 4.5、280SEL 4.5、300SEL 4.5の3機種がラインナップに加わりますが、直6エンジン搭載車は前年までで全て消滅していたため、1971年のW108/109のラインナップは全てV8エンジンになりました。しかし1972年には後継モデルであるW116が登場。W108/109そのものが消滅することになったため、これらの4.5Lエンジン搭載モデルの寿命は1年余りでした。