Type220(1998〜)
発売時参考価格(万円):'99年S320(880)、'99年S430(1090)、'99年S500(1240)、'99年S500L(1330)

220.jpg

Chassis
Data
全長
(mm)
全幅
(mm)
全高
(mm)
ホイール
ベース
(mm)
トレッド
(mm)
サスペンション
形式
重量
(kg)
5045
5165(L)
1855 1445 2965
3085(L)
F:1575
R:1575
F:4リンク
R:マルチリンク
1730(S320)〜
1830(S500L)

Engine S280 S320 S430
SOHC.V6
2799cc
210ps
SOHC.V6
3199cc
224ps
SOHC.V8
4266cc
279ps
S500(L) S580 S400D
SOHC.V8
4965cc
306ps
SOHC.V12
5.8L
400ps
SOHC.V8
4L
238ps

 W140の後継機種として1998年に発表されたW220は、21世紀のMBが進む道を示唆していると言えます。ボディサイズはW140よりも一回り小さくなり、世界中で悪化し続ける道路事情に対応していますが、前後オーバーハングを切り詰めたためにホイールベースはW140と等しく、室内の広さを確保しつつ外寸だけを小さくした形となっています。

 サスペンションはフロントがWウィッシュボーンを基本とした新開発の4リンクサスになり、リアはもはや定番となった5リンクのマルチリンクサス。加えて300SEL-6.3(W109)などに採用されていたエアサスが「AIRマチック・サス」の名で復活しました。このサスペンションのコントロールは電子制御によって行われ、路面状況をセンサーで感知して自動的にサスペンションの動作を調節する機能を備えています。従来はハイドロ・オイルで行われていたセルフレべリング機能も220ではエアサスがその役目を果たし、高速走行時には自動的に車高を低く調節。また必要であれば室内から車高を上げる事も出来ます。ショックアブソーバーは減衰特性を4段階に調節できるもので、こちらもエアサスと同様に走行状態に合わせて瞬時に自動調整されます。そしてこれらのサスペンション制御システムは、ASRやASD、BASと同じく車両制御機能の一部として、ESPによって統合的にコントロールされるのです。

 W220は先代(W140)より更に電子制御化されているのが特徴ですが、同時に安全性能についても改良されています。パッシブ・セーフティー機能としては、エアバッグがこれまでの運転席、助手席エアバッグと前席サイドバッグに加えて、後席側ドアにもサイドバッグが標準装備され、また側面衝突時の死亡原因の筆頭に数えられる頭部への損傷を防ぐために、ヘッド・エアバッグも装備されました。アクティブ・セーフティー機能についても、サイドミラーに方向指示器を装着して、対向車の視認性を向上させるという新しい試みが見られます。

 そのほかW220で新たに採用された電子制御システムとして、「ディストロニック」と「キーレス・ゴー」システムが挙げられます。前者は従来のクルーズ・コントロールの進化したもので、フロントグリルに設置されたセンサーによって前車との間隔を検知し、車間距離を常に適切に保ちます。後者はICカードを用いた新しいキーレスシステムで、カードを持った運転者が車体に近づくと自動的にドアロックを解除し、コクピットに乗り込んだ後も、カードさえ持っていればシフトレバーのボタンを押すだけでエンジンが始動するというものです。(ディストロニック、キーレス・ゴー共に日本仕様には採用されていません。)

 エンジンのラインナップは全てSOHC1気筒3バルブのV型エンジンで、既にEクラス(W210)に採用されているV6-3.2L、V8-4.3Lと、SL(R129)の'99年モデルから採用されているV8-5.0Lの3種類がまず登場。後にV6-2.8L、V12-5.8LエンジンとV8-4Lの直噴ディーゼルエンジンが加わる予定です。このうちV8以上のエンジンについては、スロットル開度が限られている時にはバルブを閉じて点火するシリンダー数を制限し、燃費を向上させる「オートマティック・シリンダー・カットアウト」が標準装備、またはオプション設定される予定です。尚、W220シャーシのクーペモデル「CL」は1999年の発表予定となっています。