三ツ星倶楽部 其之六 W124 320CE CABRIOLET 3/3 320CEカブリオレのイメージキャラは、清楚な母娘?
構成/田村十七男・芥川貴之志 撮影/山田裕之
170 ひとつ気になるのはホロなんだ。古くなると、どうしても痛むじゃない。ボディの場合はヤレが味になるけれど、ホロが痛むとボロな感じにしかならないんじゃないかな。いや、シャレじゃなくて。
AKU は?ホロがボロ? ああ、気付かなかった。いや、幌なんて傷んだら交換すればいいんですよ。あれは消耗品ですから。
170 おお、さすがSL乗り。ところでさ、オープンカー所有者はちゃんと屋根を開けるものなの? 1年に1回とか、そんな感じにならないの?
AKU 僕はしょっちゅうオープンですよ。SLでハードトップのままにしている人って多いみたいですけど、意味がわかりません。僕は屋根がないのが好きですね。
170 おお、言い切った!
AKU ウチは家族でSLに乗ってキャンプに行ったりもするんですよ。屋根を開けて走り出すと、家を出た瞬間から自然と一体になれて、野外生活の幕開けって感じがしていいんですよね〜。
170 ほぉ。でもSLってトランク小さいでしょ?荷物載るの?
AKU そりゃもう大変ですよ。小さくなる道具ばかりを選んでコンパクトにまとめるんですが、キャンプ場の管理人さんとかに驚かれますよ。よく荷物入りますねって。ただ、子供が小さいうちはSLでいいんですけど、リアシートがとにかく狭いので、もう少し大きくなったら124のカブリオレもいいかなあって思います。
170 それはそれは。けど、アナタのアウトドアライフを聞いているわけじゃなくて、幌のリペアについてたずねたのよ?
AKU ああそうでした。確かに、メルセデスに傷んだままの幌を付けておくのは忍びないですよね。これがジープとかなら傷みも味になりますけど、乗用車だとそういうわけにもいかない。だから幌はやはり、積極的に新品に換えるしかないと思うんです。
170 そう簡単におっしゃいますが、けっこうお高いでしょ。だって屋根だもん。
AKU 純正品はそれなりにしますよ。しかし、MB-Netのストアなら安く買えますから。
170 キタぁ〜。そういうオチか。まんまと見事にフッちゃった。
AKU 毎度どうも〜。メルセデスベンツの純正の幌は、アメリカ車の幌などより格段に丈夫な生地を使っていて、これを部品市場ではGerman Clothと呼んでいます。MB-Netストアで販売している幌は、この純正と同じ生地を使った社外品なので、品質的には純正とまったく変わりませんが、お値段がお手頃。純正品の価格が約32万5千円なのに対し、3分の1以下の10万5千円で買えちゃうんです!
170 テレビショッピングかっ!!
AKU 工賃は別ですよ。でも、それくらいで交換できるなら現実的でしょ?
170 宣伝はそのくらいにしてもらって……。さて320CEカブリオレ、誰が乗りますか? という話ですよ。
AKU 今回あらためて見て思ったんですけど、上品なんですよね。普通オープンカーって遊びグルマのイメージがあるでしょ?それが無いんだよなぁ。遊びの匂いがしない。もうちょっとフォーマルな感じっていうか、冠婚葬祭もOKみたいな。
170 葬式には乗ってかないだろ?
AKU まぁ、あえて乗っては行かないかもしれないけど、セカンドカー決定みたいな感じじゃなく、ギリギリファーストカーでもOKかなぁ?っていう。
170 なるほどなあ。実際、品行方正なイメージではあるよね。今日のロケは逗子・葉山に来ているけど、ここにピッタリかもしれない。アロハじゃなくていいけれど開襟シャツで、折り目のついたコットンパンツをはいている感じ。
AKU 決してビーサンじゃない。
170 編み込みのサンダルだね。それがダサいというんじゃなく、品のいい遊び人に似合うんだろうなあ。色んな遊びを経験してきたワルじゃなく、遊んでてもどこか真面目さが拭えない感じ。そこはEクラスだからだと思うよ。あと10年したらイメージが変わるかもしれないけど。
AKU 敷居が高いってことですかね。
170 まぁ、Eクラスに敷居の高さを感じない人は必ずいるわけだから、あくまでオレみたいなタイプの個人的見解なんだけどね。
AKU 僕は10年以上前に成城で見た、ワインレッドのカブリオレが忘れられません。その当時だから新車だったのかな。母娘が乗っていたんですよ、オープンで。あれはすごくオシャレに見えたなぁ。その印象が今も強いんですよね。
170 それはドンズバだね。最近よくいる「姉妹と間違われるんですぅ」って平気で言いのける母じゃなく、ちゃんと大人の女性の母親と、清楚な娘。ああ、いいっ! 320CEカブリオレのイメージキャラだね。でも、それは同時に敷居の高い存在でもある。オレは声をかけられない……。
AKU 妄想、甚だしいですよ……。
今回の取材車両は、今となっては貴重なほぼフルノーマルの車両。C124カブリオレ自体が希少な上に、ここまで新車時の姿を残した個体はそうそう無いのでは?ところどころヤレが見受けられる場所もありましたが、走行に関する部分はちゃんと整備されていて、W124ならではの乗り味を残していました。ただ走行に支障が無いとはいえ、もうちょっと足回りをリフレッシュしたり、内装を手入れしてやると、もっと新車時に近づくかなという印象。立派に旧車の仲間入りをしたと言えるW124だけに、良い状態をキープしようとすると、レストアに準ずる整備が必要になってしまうのですね。
1993y Mercedes-Benz
W124 320CE CABRIOLET