添加剤の真実:2

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執筆者:CAM (1998.11.18)-'99.8.17改訂-

アメリカ国内のオイル添加剤/メタルトリートメント製品マーケットの実態

アメリカでは販売に大きな影響を及ぼすTV通販だが、このTV通販で誇大パフォーマンスを行い視聴者を信用させ、実際には宣伝しているような効果が得られないないものを短期間で一気に販売して多額の利益を得ている粗悪製品が多々出回っているのが現状である。 宣伝で爆発的な人気を得たにもかかわらずいつの間にか姿を消し、しばらくしてから中身は以前と全く同じままで、商品名とパッケージを新たに装い、新商品としてTVコマーシャルに再登場するという信じられないことがこの業界では起こっている。日本ではオートバックスが独占契約で販売を行っている「Slick 50」は、代表的な粗悪添加剤の例であり(粗悪添加剤の代名詞とまで言われている)、過去に幾度も商品名を変え現在の名に至っている。 「Lubrilon」、「Petrolon」、「Matrix」、「Duration 2000」、という商品が以前存在したが、これは全てSlick 50の過去の商品名である。

その他には、ダミー会社を設立し別のパッケージを装って、新製品として販売されているものもある。 例をあげると、現在日本国内で「Micro X2」という商品が出回っているが、このような名前の商品はアメリカマーケットでは存在しない。 この商品の正体はアメリカのTV通販でよく見かける「Motor−Up」という商品である。 ペンシルバニア州フィラデルフィア市内に、SAVECO Environmental Serviceというダミー会社を設立し、ただ単にパッケージを豪華に装い、日本のマーケットへ流れ込んできており、商品の中身は「Motor−Up」と全く同じである。 自国のアメリカマーケットで販売ができなくなった製品は、情報が届いていない国外で販売するしか方 法はなく、実際に多くのものが日本へ流れ込んできている。 現在日本国内で販売されている殆どの製品は、既に自国のマーケットで販売ができなくなったり、なりつつあるものであると言っても過言ではない。

嘘りだらけの広告

広告に「○○研究所の調査結果によれば」、「○○州××工科大学の実験によれば」、「○○軍認定品」、という宣伝文句を見かけるが、この殆どは嘘であると断言してもよい。 実際には存在しない研究所であったり、大学や研究機関の許可なく勝手に名称を使用し、広告を見た大学や研究所がそのような実験は一切行っていないと否定し、メーカーに訴訟を起こしたケースも過去にあった。 実在しない研究所の例を上げると、「QMI SX6000」の広告にGottolab調査技術という研究機関の名前が出てくるが、このような研究機関は実在しないことが判明している。

「○○軍認定品」という宣伝文句はいかにもハイパフォーマンスで信用できるような商品イメージがあるが、実はこれも明らかに嘘である。 現在日本では一番良いと言われている「Microlon(テフロン/PTFE樹脂ベース添加剤)」には、広告やパッケージに 「軍の認定品」と謳っているが、実はテフロン/PTFEの効力については、1991年にアメリカ軍が実際に検証し、オイル添加剤の原材料には相応しくないという結果が公表され、「軍事施設には一切使用していない。」と正式に発表された。

「Microlon」は以前にアメリカ国内で爆発的に売れたが、現在は自国のマーケットで販売することができなくなったため、日本へ流れ込んできている。現在アメリカ国内で「Microlon」を販売している店は殆ど見当たらないのが実状である。

その他にも、NASA宇宙開発センターや自動車大手メーカーのGMなども独自に調査を行い、軍の調査結果と同じく、テフロン/PTFEはやはりオイル添加剤の原材料には相応しくないという結論が出ている。 よく「NASAの技術が開発した」という宣伝文句よく見かけることがあるが、嘘であることが多い。 オイル添加剤を問わず、その他の製品でもよく「NASAが開発した」というフレーズは、ハイテク商品のイメージを得るためにただ単に使われているだけであり、実際にはNASAが開発に全く関与していないにもかかわらず勝手に名称をしているケースが多い。 ひどいものになると、同じNASAという名称でも違う略称のNASAであったりするものもある。 NASAが名称を許可なく勝手に使用したメーカーを訴えるとなった場合、数え切れないほどのケースが出てくるらしい。

自動車大手メーカーのGMは、調査の後1993年にはテフロン/PTFE入りの添加剤を使用した車は、例えディーラー保証期間中であっても保証対象外になることをアメリカ国内全土のGM車販売ディーラーに通達している。 しかしながら、日本でGM車の販売を行っているヤナセは、全国のディーラーでテフロン/PTFEを原材料とした「Microlon」を平気で販売しているのは一体どういうことなのだろうか。

アメリカ国内では1990年に入ってからテフロン/PTFEの効力について本格的に騒がれはじめたが、実はテフロンの登録商標の持ち主であるデュポン社は、既にオイル添加剤の原材料には相応しくないことを1980年に発表しているという情報を日本で把握している人は殆どいない。 NASCARのレースカーでデュポン社チームのマシンを見かけるが、テフロン入りオイル添加剤を使用するとエンジンがどうなるかを彼らは当然知っているので、一切使用していないのである。

テフロン樹脂を原材料としたオイル添加剤は、1970年になってアメリカマーケットに登場した。 販売された当初は画期的と思われたが、テフロンベースの添加剤を入れ続けた自動車のオイルパンに、真っ黒なテフロンのスラッジが蓄積され、オイルポンプの吸引口を塞いでエンジン内のオイルが回らなくなってしまい、ある日突然エンジン大きなノッキングを起こしエンジンが焼けてしまったという問題が実際に起こった。 その他にも小型自家用機のエンジンに使用したオーナーが、飛行中に突然エンジンが止ってしまい、不時着したという騒ぎも起こり、これらは業界誌の記事に掲載された。

世間や業界からテフロンの効力について疑問を投げかけられたデュポン社は、70年後半に独自の調査チームを設け、テフロンがオイル添加剤の原材料に相応しいものであるかどうかという調査を徹底的に行った。 調査後、オイル添加剤には相応しくないことが判明した後、同社は1980年2月1日にテフロン樹脂はオイル添加剤には相応しくない原材料であり、オイル添加剤メーカーへのテフロン樹脂の供給を完全に中止することを正式に発表した。

そうなると、「Microlon」の広告に関してもう一つ否定できる内容が出てくる。 広告には1979年にフランス海軍に認定されたと謳われているが、上記の通りデュポン社は、翌年の1980年に発表をしており、彼らは1980年以降のデータが公表できないのである。 公表したとしても、それは嘘のデータということになる。

デュポン社は正式発表の後、オイル添加剤メーカーへのテフロン樹脂の供給を完全に中止し、登録商標であるテフロンの名称を許可なく使用したメーカーには訴訟を起こすという忠告もした。 そのため多くの製品がテフロンからPTFEの名称に変更したのである。 ところが、「T−PLUS」という商品がテフロンの名称を平気で使い、現在でも販売し続けているという不思議なことがおきている。 実は「T−PLUS」は、供給中止を発表される以前に登録商標の使用許可をデュポン社から得ていたためこのようなことが起きており、デュポン社にしてみれば迷惑な状況となっている。 デュポン社は登録商標使用ライセンスを所持している「T−PLUS」にすら、テフロン樹脂の供給は一切行っていない。 オイル添加剤の原材料には相応しくないことが発表されているのにもかかわらず、今だに多くのメーカーが別ルートからテフロン/PTFEを仕入れ、配合したオイル添加剤を販売し続けている。 デュポン社の正式発表が行われたにもかかわらず、現在でもテフロン/PTFEを使用しているメーカーはアメリカ国内で最低でも44社は存在すると言われている。

塩素処理系の添加剤の危険性

最近ごみ焼却処理問題で騒がれているダイオキシンは、塩素のものを加熱した際に発生する有毒煙だが、いくつかの添加剤でこの塩素系を含むものが存在している。 ダイオキシンの発生をさせないためには、800℃以上の熱を必要とするのは、最近では一般の人達も把握しているが、エンジンから発生される熱では当然ダイオキシンを発生させることになり、危険なことは言うまでもない。

Teflonベースの添加剤は自分でも造れてしまう?!

広告では化学処理をしたベースが何とかと難しいことを言っているが、実はテフロン樹脂を手に入れることさえできれば、後はオイルを買って自分で配合してしまえば簡単にできてしまうのである。 ある商品は自社の使用しているテフロン樹脂は他社のものよりも細かいと謳っているが、そもそもテフロンはオイル添加剤には相応しくない原材料であることは、デュポン社が1980年に発表した通りである。

引火性が無いと謳っているPro Longの偽りTVコマーシャル

もしこのTVコマーシャルを見る機会があったら、ある場面をよく注意して見ていただきたい。 コマーシャルの一部で、他社競合製品のオイルを試験管に入れ沸騰させ、火を近づけると他社製品は引火するが、「Pro Long」は引火性が全く無いという比較をした場面が出てくる。 ところが、おかしなことに「Pro Long」は自社製品を沸騰させた場面を一切映さず、金属を試験管に入れた場面だけ映して引火性が無いと謳っている。 しかもよく注意してみると、試験管に入っているオイルは熱を加えていないので、オイル粘度が硬いのが素人目で見てもすぐに分かり、明らかに嘘であると見破ることができる。 このメーカーは日本で同じみのMoon Racingチームのスポンサーに現在付いているが、いくら有名なチームのスポンサーに付いたと言っても必ずしも良い商品であるとは限らない。

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1991年の軍の発表をきっかけに、FTC(Federal Trade Commission:米国連邦取引委員会)が粗悪商品を製造しているメーカーを訴えて多額の罰金を課せ、国内マーケットから締め出すという動きを見せている。 まず最初にはSlick50が訴えられると言われている。

(原文まま)


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