業界のEPC伝説
GCCが出来てまだ間もない頃、一枚のCDが私のところに届けられました。 「開発途中みたいなんだけど、何とか動かせないかな」という依頼。 CDには、ERCEDSES BENZ EPC と書いてあります。 当時のパーツ検索は、ドイツやアメリカでは、EPCが普及しはじめていたものの、日本ではまだ多くのディーラーがマイクロフィッシュを使ったアナログなものでした。 ですから、年式や仕様の違いによって使われているパーツを見分けるのは非常に大変な作業でした。 話には聞いていたあのEPCが今手元にあると思うとすぐに試さずにはいられませんでした。 当時のOSは、WINDOWS 95 でしたが、とりあえず普通にインストールできたものの、全く起動しません。 そこで、GCCでプログラム関係の仕事をされている方に呼びかけたところ20人ほどの方から解析してみましょうと返事を頂きました。 即席のメーリングリストを作り全員で情報交換です。 シリアルポートに挿して起動パスワードを送るデバイス(ドングル)が必要みたいだとか、日本語版Win95用に設計されていなくてあちこちでコンフリクトしているようだとか、いろいろな問題点が話し合われている中、ひとりのアプリケーション開発を生業とされている方から 「これ、動かないのはバグですよ。バイナリエディタで、こことここ、それにあそこをこの数字に置き換えれば普通に動きます」 言われるままに修正してみると、はい私のPC上でも動きます。 日本語版Windowsで EPCを世界中の誰よりも早く動かしたのは我々だったかもしれません。 それから何ヶ月かして、日本のディーラーにも漸次EPCが導入されていったのですが、この頃ディーラーに部品を買いに行くのが楽しくて仕方ありませんでした。 だって普通に車体番号言って部品名で注文するんですが、パーツマンが部品検索する画面を横で見て、 「あっ、その画面じゃなくて、一つ前に戻って、ほらそこの上で右クリックするでしょう。 そうしたらそのページの上から2番目クリックして・・・」 なんて説明すると、きょとんとしてるわけです。 「私、そのアプリケーションの開発に携わりましたから」と言うと納得してましたけどね。 by OZW |