ボンネットインシュレーターの開発
メルセデスベンツを始めとする欧州車のボンネットインシュレーターは、だいたいポリウレタン製で、高温多湿な日本の環境では数年で加水分解してボロボロになってしまいます。 実際オフミなどでちょっと古めの車が集まってボンネットを開けていると、このインシュレーターがだらーんと垂れ下がっていたり、ちょっと触れると粉が飛ぶくらいになってしまっている車両も多く見かけますよね。 純正品で2万円弱と高額部品とは言えないまでも、そんなに安いものではありませんし、これを張り替えるとなるとスクレーパーで綺麗に剥がして、ボンネットをマスキングした上に別売りのスプレーボンドを使って一気に貼り上げないといけないので結構大変な作業になります。 こんなの適当な断熱材を型取りして両面テープで貼れるようにすればいいだけだから値段も性能も純正以上のものを作るのなんて簡単じゃん、と思って開発を進めたのが数年前。 ところが、実際始めてみると色々と問題が・・・ まず素材。 住宅用の断熱材は種類も多く入手も簡単なのですが、車用それも輸入車用のそれとなると一般に市販されているものはほとんどありません。 とりあえず国産用の汎用品を試してみましたが、性能が純正レベルに遠く及びません。 何とか使えそうなものとしては、唯一レーシングカー用のグラスファイバークロスを見つけたのですが、今度は値段がとても高いんです。 これで作ると原価ベースでも3万円以上は行ってしまいそうです。 それで、自動車用の断熱・遮音材を造っているいくつかのメーカーに当たって、その中からグラスファイバー素材でエンジン周りの断熱材を作っていたところをようやく見つけることが出来ました。 そこに何度も足を運んで、ボンネット用に作ってもらうように頼み込み、値段も交渉してなんとかコスト面もクリアできるようになりました。 さて、次は実際に取り付けてみて実験開始です。 三種類あった厚さの中間のものを選択して、とりあえず裏につける両面テープは一番強力なのにしておけばいいやということにして、最初の試作品はボンネットよりひとまわり大きく造ってもらったので実車に合わせて金切ハサミで切ってテスト車両に貼り付けました。 なかなか切れなくて金切ハサミがダメになってしまい、完成品は修正無しで貼り付けられるものにしないといけないことを再認識しました。 室内外の騒音とボンネット表面の温度を、騒音測定器と赤外線温度計で測ってみると、測定値は純正と同じか少しいいくらいです。 素材をもうひとつ厚いのにすれば数値は良くなったのですが、耳で聞いた感じではそんなに差がありません。 それに音というのは絶対音量だけではなく音質も重要で、中間の厚さのが室内だと純正品も含めて一番高級車な感じになります。 あまり分厚くしてボンネットが閉まらなくなっても困りますし、性能面と作業性やコスト面も考慮し中間の厚さのものに決定しました。 あとは耐久性の問題です。 中綿はグラスファイバークロスなので問題ないはず・・・と思っていたら、3ヶ月程度で両面テープのほうが剥がれてきてしまいました。 今度は両面テープの粘着材探しです。 あまり話が長くなるのもよくないので割愛しますが、こちらもかなり苦労させられました。 そんなこんなのテストを繰り返し、最終試作品は1年以上使ってきましたが、粘着材の耐久性も合格ということで、今回の発売に至ったというわけです。 純正同等以上の断熱遮音性能で、純正の半額という値段、さらに純正をはるかに上回る耐久性と作業性を誇るSJの自信作です。 また、汎用品ではなく、車種別設計、さらに裏側には粘着シートが貼付済みですから、裏紙を剥がして貼り付けるだけで、誰でも簡単にぴったり装着できます。 まずは、124用からスタートしますが、順次いろんな車種のものも作っていこうと考えておりますのでどうぞご期待ください。 by OZW |