OEMのせい? (その1)
それまでOEMも社外品も一色単に「優良品」と一括りにされていたこの業界で、社外品と厳に区別した形での「OEMパーツ」とか「OEMメーカー」といった言葉を世に広めて定着させるのに当社も一役買ったのではないかと思っています。 それでもまだ誤解されている部分があるようです。 例えばMYLEなどは完全に社外品でOEMメーカーではありませんが、OEMだと言って売っているところも見かけます。 BOSCHがOEMメーカーだというのは誰もが認めるでしょうが、BOSCH製品がすべてOEM製品というわけではありません。 例えばO2センサなどはパッケージ以外純正品と全く同じものもあれば、配線に加工が必要な汎用品みたいなものもあります。 これをOEM品と呼ぶのはおかしいですよね。 また、メーカーに納入する純正部品と一般市場に出す補修用パーツを別ラインで生産しているところもあったりして、純正品とOEM品では微妙に形状が異なっていたりするものもあります。 ですが、基本的にはBEHRをはじめほとんどのOEMメーカーでは純正品とOEM品を同じラインで生産しており、パッケージ以外それぞれの製品に違いはありません。 ただ、製品に違いがなくても工業製品である以上必ず一定割合で不具合は発生してしまいます。 もちろんこれは純正部品でも全く同じことで、ディーラーのメカニックさんたちに聞く限りでは不具合発生率もほとんどOEM品と変わらない印象です。 ですが、ディーラーさんの場合は例えば部品に初期不良があった場合は部品の無償交換は当たり前ですが、工賃も二重に請求されることがありませんからあまり不満が表に出ることはありません。 これに対してお客様がご自分で部品を購入されて交換される場合は、製品不良があると少なくとも交換作業は二度手間になるわけです。 それに全体としての不良率がコンマ数%だとしても、たまたまそれに当たってしまったお客様にとっては不具合率100%と認識されてしまうわけで、純正でなかったからこうなったんだと思い込み、「このメーカーのこの製品は最悪だ」みたいなことをお書きになられている方もいらっしゃるようです。 もっと酷いのは自分の取り付けミスを部品のせいにする業者さんも中にはいまして、特にOEM製品だとOEMだからこうなんだと、OEM製品に罪をなすりつけるようなことをするところもあって対処に困ってしまうことがあります。 先般、BEHR製 W124のラジエター(V8エンジンを除く)に関してお客様よりこんなご連絡を頂きました。 装着して3年ほどでダメになって近くの修理工場で点検をしてもらったそうです。 走行距離や使用条件にもよりますが、確かに3年しか持たないというのは製品不良の疑いもあります。 で、その修理工場さんの見立ては (1) コア部のステンレスの磨きがいい加減で通常では考えられない早さで腐食した。 (2) 左タンクの中央にある仕切り部分に穴がある(これはヨーロッパ仕様との事。) (3) しかもその仕切り部分にシールが無いのは純正品では考えられない。 まあ結局、「純正品じゃないから」「OEMなんて所詮この程度のクオリティでしょ」というのが工場長さんの見解です。 私がこの業界に入った頃(バブル末期でした)、タンクの純正部品としての供給はありませんでしたが、ラジエター専門店では社外品ですがタンクのみを交換して修理するというのは当たりまえに行われていました。 この工場長さんもこの時代にディーラーのメカニックさんだったようですから、タンク内の構造までよくご存知なのでしょう。 でもBMWなどと違って、W124のラジエターには日本仕様とかヨーロッパ仕様という区別は当時も今も無かったはずです。 ちょっと言ってることがおかしいような・・・ でも、そうは言っても実際現在の純正品とBEHR製品とを比べて見たことはないので、反論のしようがありません。 そこで、知り合いの工場さんにお願いして、ラジエター交換の作業があって取り外したのものが純正品だったら取っておいてもらうようあちこちに声をかけさせて頂きました。 が、こういう時に限ってなかなか出てこないんですね。 その2に続く By K |