留学事情
前職で英会話学校を経営していたことがあるというのは書いたことがあると思います。 SJを任されて、学校の方は役員も退任し、すべての経営を友人に任せてきました。 その後、その友人は一般の教室は縮小し、代わって幼稚園や小学校などへの講師派遣という形態に切り替えたことが上手くいって、今でもそれなりに上手くいっているようです。 先日その彼から連絡があって、留学準備専門のコースを作りたいのだが、という相談を受けました。 留学といっても、1学期だけとか、交換留学でせいぜい1年間だけみたいな「お遊び留学」ではなく、最低でも2年以上滞在して現地の高校とか大学、大学院をちゃんと卒業するという本当の意味での留学を支援するコースを作りたいようです。 特に高校留学は、日本では人数も少ない上、お遊び留学がほとんどですが、世界の他の国々はもの凄い勢いで人数も増え、形態も現地卒業留学が主流になってきています。 日常会話程度なら全くの初心者でも半年もそこに居ればそれなりに何とかなるものですが、それと現地校で通常の授業を受けて自分の意見を発表し、レポートを提出し、テストも受けて単位を取るというのとでは別次元の話です。 数学や物理化学はもちろん英語(つまり国語)や専門科目の授業を現地生と同じ条件でこなしていかないといけないわけてすから、会話ができるとか出来ないとかいうのとはレベルの違う話になります。 当然、英語圏以外の国からそういう留学をするためには、行く前にそれ用の準備をしていかなければ、いきなり留年、退学は必至です。 誰でも行けば何とかなるなんていうのは、お遊び留学生のお間抜け情報に過ぎません。 現状、日本にはこういう準備に対応できるところは皆無か、あっても極わずかでしょう。 この意味では確かにそういうニッチ(隙間)なところに目を付けたのはいいと思うのですが、それにしても今の日本じゃ需要が少なすぎるから採算ベースには乗らないんじゃないかと彼には伝えました。 その後、他の国はどうしているのだろうと気になって調べてみたのですが、ちょっと恐ろしくなりました。 まず、留学生数の世界ランキングは、中国、インドは予想通り1位と2位でしたが、3位は意外にもお隣の韓国でした。 中国、インドは別格としても、韓国人留学生数が10万人以上で、日本の倍以上だったのには正直驚きました。 人口当たりに換算すると、なんと5倍以上です。 私個人はお遊び留学だとしても十分意味のあることだと考えていますが、その数さえ減ってしまって単位人口換算だと既にマレーシアに抜かされていて、タイやベトナムに抜かれるのももう時間の問題という状況は国家としても危機感を持つべき事態ではないでしょうか。 それに比べ韓国は、留学生数が近年激増していて、留学準備の体制も日本とは段違いでした。 物価の安い英語圏であるフィリピンに、韓国政府が率先し、大手韓国企業が資本を入れて寮を持った本格的な語学学校をこの10年の間に次々と設立して(ざっと調べただけでもセブ島を中心に韓国資本の学校は大小合わせて100校はありそうです)、そこに韓国の小学生から大学生をどんどん送り込み、通常3か月程度特訓した後、そこから世界中の高校・大学に羽ばたかせています。 人件費の安さを利用して、一流大学を卒業したフィリンピン人教師を使って、マンツーマン授業を主体に1日8時間〜10時間程度のスパルタ授業、1日3食付、掃除や洗濯はメイドがやってくれて、授業料、寮費全部込みで1ヶ月10万円程度だそうです。 この値段を見ても分かる通り、韓国では必ずしも富裕層だけが留学を考えているわけではないようです。 いずれにせよ、卒業留学を目指す数少ない日本人留学生の大半が授業についていけずに途中帰国してしまうのに対して、韓国人留学生の多くはそれぞれの国で優秀な成績を修めているのは事実です。 こんなところからも近年の日本の凋落と韓国の躍進は偶々こうなったわけではないというのが分かります。 採算が合わなくても、友人にはそのコースを作るべきだと言いたくなってきました。 By OZW |