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クランクシャフトポジションセンサー


エアフロセンサーなどエンジン関係で他のセンサー類の故障はエンジンがかかりくいとか、アイドリングが不安定になるとか、完全停止する前に何らかの前兆症状があるものですが、このクランク角センサーは、突然死してそのままお陀仏というケースが少なくありません。

4サイクルエンジンではクランクが2回まわる間にカムが1回まわるわけですが、クランク角からだけだと、それがどの気筒がどの工程にいるのかわからないので、カム軸のカム角センサーでそれを判別する必要があります。

一方、カム角センサーの信号はタイミングベルトやチェーンの緩みなどの影響を受けるため、若干のズレは避けられません。
より高精度な位置情報を得るためには、誤差が少なく分解能もカム角と比べ2倍高いクランク角センサーの方が適しています。

このため、わざわざカムとクランクに一つずつセンサーを付けて、それぞれの情報をECUに送って、点火時期、燃料噴射時期、噴射量を制御しているわけです。

どちらのセンサーも作りは同じで、クランクシャフト、カムシャフトそれぞれに取り付けられたバルサローターの外周にある金属製の突起物を感知してそれをパルス信号に変換するだけの単純な装置です。

これらのセンサーですが、90年代前半まではピックアップコイル式、要は電磁誘導を利用したアナログなものが主流でした。
なので、熱変化の影響を受けて、ピックアップコイルがわずかずつ収縮を繰り返すうちに断線したり、ピックアップコイル自体が、電磁誘導作用によって、物理的な振動を繰り返すうちにいつか断線してしまうのは避けられないことではありました。

そういうこもあり、またコストの点でも有利なことから、今ではほとんどの車種でコイルの代わりにホール素子という半導体を使ったものになっています。
半導体薄膜に電流を流しその表面に対し垂直に磁界を加えたとき、電流方向及び磁界方向それぞれに垂直な方向に電圧が発生するというホール効果を利用したもので、コイルなどを使わない分、断線のリスクがなくなり、信頼性は大幅に向上するはずでした。

ところが、実際には、ホール素子には一定電圧が印可された状態で周囲温度が高くなった場合には、素子の抵抗が低くなる特性があって、結果流れる電流が増大し、素子で消費される電力が増えて更に温度上昇するという温度暴走状態となりすい欠陥、というか、そういう性質のセンサーなものですから、予想以上に早く素子が破壊されてしまっているようです。

実際、当社に頂く注文数も今時の車のもの方が、ピックアップコイル式の昔の車より数倍多いことからしても、ホール素子を使ったセンサーのほうが、少なくとも日本ではむしろ壊れやすいんじゃないないかと思います。

いずれにしても、これはもう消耗品と考えて、ひとつ予備でトランクにでも積んでおいたほうがいいかもしれません。


By OZW



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