イグニッションコイル
イグニッションコイルは特に可動部分があるわけではないので、その寿命は絶縁破壊が起きるまで、ということになります。 一般にコイルの絶縁破壊を起こす原因はいくつかあります。 塵や埃が付いてそれが吸湿することによるエナメル皮膜の加水分解などで絶縁層表面の特性低下を引き起こすこともありますし、運転と停止の繰り返しによるヒートサイクル熱応力や走行時の振動など物理的な作用による絶縁層の剥離や亀裂につながることもあります。 中でも、発熱による絶縁皮膜の酸化劣化・熱分解は深刻で、一般にエナメル線の耐熱寿命は、40,000時間といわれていますが、耐久設定温度より10度上がると半分に、60度上昇してしまうと 100分の1の寿命に縮んでしまいます。 いずれにせよ、上記の原因が複合的に関係して、絶縁性能をある程度劣化させたところで、プラグの損耗などで要求電圧が高くなるとコイル皮膜の表面間で部分放電と呼ばれる微小な放電が発生し、それがさらに皮膜を浸食し、やがては絶縁破壊に至ります。 ダイレクトイグニッションになってからコイルの寿命はかなり短くなってしまったのですが、それはエンジンのすぐ近くに設置されたコイルが、高温多湿な環境で渋滞になったときなどに、熱を溜めこんでしまうようになったことが大きな原因と考えられます。 さらにプラグの長寿命化により、かえってメンテナンスしなくなり、プラグの劣化による要求電圧の上昇が、部分放電を呼び込んで止めを刺す、ということになっているようです。 一番は熱を溜めないことで、比較的年式の新しい車ならむしろ過走行と思われるくらいの車の方が程度いい場合が多いのは、車にとって最悪な条件は渋滞走行だという証左でもあるのですが、走行条件は自分ではどうしようもない部分でもありますので、せめてプラグくらいは早めに交換しておくべきでしょう。 By OZW |