W124 E60
連休中はどこか遠出することもなく、夜な夜な都内近郊を飛ばしていました。 はじめのうちは加速感を楽しんでいたのですが、ワインディングもメチャ楽しいことを発見してしまい、これではタイヤがあっという間になくなりそうです。 このE60、エンジン以外はもともとAMGのE60だったので、オリジナルのサスペンション関係はもちろん AMG製のものが付いていました。 ところが、前オーナーはとんでもなく飛ばす方だったらしく、AMGのサスでは満足出来なかったようです。 一体どんな運転をしていたのだろうと思いますが、本格的に攻めると、フロントは接地感がなくなり、リアは腰砕けになってしまうのだとか。 そこで、フロントスタビにAMGのものを残した以外は、全部刷新しています。 スプリングは戦車に使われるコイルスプリングと同じ素材のえちごやスペシャルで、ノーマル500Eに比べて 75% のレートアップ。 レベライザーは取り外して、ショックはノーマル前後 28パイに対し、エナペタルと共同開発した倒立式フロント36パイ、リア46パイ、ノーマル比では 1.5倍以上の減衰力を持たせつつもストロークはむしろ大きく確保したものが付けられています。 アッパーマウントは、5mm厚のジュラルミン製ピロポールでキャンパー角を調整してコーナーでの頭の入りはノーマルとは異次元のレベルに仕上げられています。 こう見てくると、とんでもなく硬い乗り味を想像するかもしれませんが、それが全くそうではなく、とてもしなやかで突き上げ感も全然ありません。 段差で跳ねるなんてことは、もちろんありません。 E60 AMGオリジナルは乗ったことがないのでよく分かりませんが、素の500Eと比べても乗り心地自体は悪くないのです。 これは私だけの感覚ではありません。 実は、先日、初期モデルの500Eを常にベストコンディションで維持している友人を乗せて首都高環状線を走ったのですが、相当ショックを受けていました。 ノーマルマフラーでえちごや1号機に乗った後だと、4,000rpmから上がフン詰まりに思えた BRABUSエンジンも、彼にはノーマル119エンジンとは全くの別物、気持ちいいくらいに上まで回ると感じられたようです。 排気量が1Lも違うのですから、これはまだ納得出来たみたいですが、サスペンションのセッティングはエンジン以上にその違いをまざまざと見せつけられた感があったようで、かなり凹んでいました。 それほど固めた足とは感じられないのに、ノーマル500Eではあり得ないような速度でコーナーに進入したかと思ったらコーナリング中にさらにアクセルを踏み込んでいった状態で、姿勢変化がほとんどないまま余裕で曲がっていくことが信じられない様子でした。 ストリートでタイヤの性能を100%引き出すサスペンションのお手本のようなセッティングです。 ABC(アクティブサス)と同じくらいにロールは抑えられている上、コントロール性はこちらのほうが圧倒的に上です。 もちろん、これはW124のボディー剛性の高さと秀逸なマルチリンクサスの基本性能があってこそで、最新のサスに負けない足回りをまだ作れるのは、この時代のベンツの特権でしょう。 ただ、このE60の足回りが万人向けかといわれれば必ずしもそうではありません。 失敗したときには、ノーマル500Eの懐の深いサスセッティングや最新の電子制御サスなどのようにクルマがそれをカバーしてくれるわけではないので、自分で立て直さないといけません。 この緊張感を楽しいと思うか、疲れると感じるか、で評価が分かれるところだと思います。 私は楽しくて仕方ありませんが、W126のゆったりとした乗り味もとても気に入っています。 どちらを運転するかで私は別人になります。 By OZW |