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悪魔のヒーターホース

 
先週、えちごや皆口さんから、いきなり「60のヒーターホース大丈夫か確認してくれる?」という電話がありました。

「どうして?」

「このところ、そこのホースが破れてオーバーヒートさせてしまうひとが多いみたいな話が業界内であって、そしたら今日うちのお客さんのも破れたみたいなんだよね」
「交換後ほとんど走ってないけど、年数が年数だから、指でぐうっとつまんで細かいヒビがないかもう一度確認してみて。それで、大丈夫そうだとしても念のため新品に換えておいたほうが安心かも」




エンジン左バンクの後ろ側にあるホースです。
ラジエターホースに比べると目立たない位置にあるのと、下側に伸びている部分は上から覗いただけではよく見えないので、劣化していても気付かずにそのままにされていることが多いようです。




年式とオプション装備によって 500Eだけでも3種類ありますが、どれも複雑な形状をしていて、いかにもちょっと劣化したらすぐに漏れそうな形です。
(適合等はお問い合わせください)

しかも、厄介なことに、ここから漏れるとエンジンヘッド内の水が一気になくなって内部で水蒸気となってしまうことがあり、そうなるとラジエターにまだ水が残っていたとしてもエンジンに水が入っていかなくなってしまいます。
その場合は、エンジンに致命的なダメージを与えてしまうわけで、おそらくオーバーヒートで、これまで V8に限らず 6気筒も含め W124をこの世から葬り去ってしまった原因の中で一番多かったのは、このヒーターホースからの漏れによるよるものではないでしょうか。




翌日は、W124の集まりがあって 200kmほど走ることになっていたので、エスファクトリーに持ち込んでチェックもくそもなし、問答無用で交換してもらうことにしました。

周りのカバー類やバキュームホースなどを外して先ずは手が入るスペースを確保します。




左が取り外したホースです。
まだ弾力も残っていましたし、ヒビなどは見ありませんでしたが、まだ大丈夫なうちに交換するのが正解でしょう。

たかだか1万円程度の部品をケチってエンジンお釈迦にしたら悔やんでも悔やみきれませんから、ここは絶対に流通ルートも分かった正規の純正品にしてください。
訳のわからない社外品や純正品といいながら廃棄処分品の横流しをここに使うのは大バカです。




交換後は、リークテスターで圧力掛けてしばらく放置し、圧力漏れがないことを確認して終了です。

このホース、距離や乗り方にもよるのですが、車検ごとに交換しておいたほうが安心だと思います。
不思議なことに、交換時期もパーツの入手ルートも全然違うし、オーナー同士も接点がないはずなのに、壊れる時は一斉に、なんてことが旧いクルマではよくあります。
5月が滅茶苦茶暑かったせいなのかもしれません。
いずれにせよ、もう何年も換えていない方は、そのホースに死神が宿る前に早めの交換をお願いします。



By OZW



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