修理履歴の伝言ゲーム
友人から個人売買で出ていたW124 E320 ワゴンを買いたいから付き合ってほしいと言われて一緒に見に行ってきました。 ぱっと見、大きな事故には遭っていなさそうでしたが、外装は小さな傷や凹みがあちこちにあって、内装も薄汚れた感じです。 この時点で私なら買いませんが、買う気満々の友人は、手を入れれば綺麗になるとか言い出しています。 リアハッチのオートクロザーが壊れていて、右リアウインドも開きません。 それはまだ簡単に直るでしょうからいいのですが、エンジンはアイドリングがちょっと変。 エンジンルームはまあまあ綺麗で、オイル漏れなどはありませんでした。 でも、ちょっと走ってみると、調子の悪い500E並に水温高いし、明らかに本来のトルクが出ていません。 ATは2速から3速に入るときに滑っています。 これは何としても購入を思い止まらせないといけません。 友人に問題点をあれこれ説明すると、横でそれを聞いていたオーナーさんが怒りはじめてしまいました。 エンジンもATも最近専門店でOHしたばかりだから、どちらも絶好調だと言うのです。 このオーナーさん、悪徳業者に騙されたのかと思ったのですが、整備記録簿らしきものを見せてもらうと・・・ エンジンは「オイル漏れ修理。パッキン交換。工賃2万円」 ATは「添加剤注入。AT調整。工賃8千円」 何のことはない、コの字シール交換 を エンジンヘッドOH。 AT添加剤注入&調整 を AT修理。 だとオーナーさんが勝手に勘違いしているようです。 さらに恐ろしいことには、この調子の悪い車を絶好調だと信じ込んでいました。 多分、そのまま鵜呑みにしてこの車を買ったひとが次に売りに出すときには、 「前オーナーがエンジン、ミッションともにフルオーバーホール済み!」ということになりそうです。 そういえば、NIIBE号の取材で伺ったエスコートさんのお客さんにも、別のお店でL28エンジンを3.1Lにボアアップ済みということで買ってきた S30Zが、エスコートさんでエンジン開けてみたら実際には一切手が入っていないボロエンジンだったことが発覚して、お客さんとその別のお店との間で裁判沙汰になっているという話しを聞きました。 もしかするとそれを売ったオーナーも買い取ったお店にも悪意はなくて、オーナーが変わる度に、ヘッドカバーパッキン交換 -> エンジンヘッドOH -> エンジンフルOH -> ボアアップ・フルOH という伝言ゲームになっていったのかもしれません。 By OZW |