構成／田村十七男・芥川貴之志　撮影／山田裕之

170 初回がW124で、前回がW123。このまま時代を掘り下げ続けるのかと思いきや、3回目にして掘り上がりました。ちょっとホッとしたなあ。

AKU 掘り上げるって言わないでしょう？

170 じゃ盛り上げる？

AKU それもちょっと……。

170 いやまぁとにかくCクラスです。

AKU W204ですね。用意したのはC200のコンプレッサー。これがベーシックグレードになります。その割に豪華装備ですが。

170 そうだ。エンジンが新しくなったらしいじゃない。エコに向けてメルセデスが提案した、ブルーなんとか？

AKU ブルーエフィシェンシー。CO2ゼロに向けた環境対策プログラムってやつですね。

170 それそれ！　そのブルーエフィシェンシーの技術を投入したエンジンなの、これ？

AKU Cクラスのブルーエフィシェンシーは発表されたばかりで、今回の試乗車はそのひとつ前のですね。ちなみに最新のCクラスは、新開発のマルチホールインジェクターを採用したCGIエンジン搭載車が3モデル登場しました。まぁでも、今回のクルマでも現在のメルセデスを十分語れますよ。

170 なるほどね。ふむ。でもさぁ、ちょっと困ってるんだよね。

AKU 何を？

170 もはや21世紀のクルマって語り口が少ないと思わない？　自動車としてどれも完成しちゃったというかさ。好き嫌いはあるだろうと言っても、各ブランド各モデルにかつてほどの強力な個性がないでしょ。

AKU 確かに。

170 だから今の自動車評論家って何を評論するんだろうと。それに関連して、自動車専門誌が売れなくなったのも無理ないと思うんだ。ほとんど家電だもんね、今のクルマは。でもって昔から家電専門誌がないわけだからさ、自動車専門誌はお手本もなくして、それで立ち行かなくなっているところもある。

AKU いつになくネガティブですね。おっしゃる意味はよくわかります。つまり今回は、家電ソムリエの細川茂樹をゲストに呼ぶべきだったと。

170 そんなことは言ってない。

AKU でも、このW204はいいクルマですよ。よく出来てる。

170 そうなのよ。よく出来てるの。だからオレのボキャブラリーでは語りようがないんだなあ。あと、新車だけに思い出がない。

AKU それを言っちゃおしまいですよ。そうそう、僕が最初に試乗したW204はC63AMGとC300アバンギャルドだったんですけれど、C63は別格としてもC300はすごくよかったですね。

170 エンジン違うじゃん。今回はC200でしょ？

AKU ええまぁ。今回のC200はスーパーチャージャー付きの1.8リッター直列4気筒で、C300アバンギャルドは3リッターのV6。最高出力も135kw(184ps)に対して170kw(231ps)ですからね。そりゃ違います。でもそれ以上に違いを感じるのが、トランスミッションなんです。C200は5速ATですが、C300は7速なんですよね。メルセデスの7速AT車は何台か乗ったことがありますが、クロスレシオなのでどれもとても滑らかだし、常に適切なギアリングをしてくれるので、どんな速度域でも気持ちよく走れます。

170 C200にはシフトモードのスイッチがあったよね。コンフォートとスポーツが選べるという。個人的にはコンフォートはややかったるい印象で、逆にスポーツは荒さを感じたんだけれど、そのスイッチで7速に近いフィーリングは出ないの？

AKU 残念ながら出ません。まぁ、今回のC200が定価440万円なのに対してC300が630万円ですから、同じCクラスと言っても別物ですよね。ちなみに7速ATはC63にも使われています。こちらは１千万円越えですが。

170 でさ、今日はそのC300には乗れないの？

AKU ええ、重ね重ね残念ながら……。

170 じゃあ7速の話題とかしないでよ。それを言っちゃおしまいなのは、そっちじゃん！

次回（2/3）に続く……