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タイヤに窒素 その2


(上の写真は、ストラットマウントの頭に付けて、ロードノイズの音波を検出し、それと逆位相のノイズを発して騒音を打ち消すという電磁アクチュエーター。東洋ゴム工業が神戸大学との産学協同開発で生み出した試作品です)




とりあえず音が変わったと主張する彼が正しいと仮定して、それではなぜ変わったのか、その理由を考えてみました。

タイヤが発生するノイズは大きく分けて、溝と路面の中の空気が圧縮されて発生する「パターンノイズ」と、路面からの振動により発生する「ロードノイズ」があります。
また、タイヤには、内部を気柱とした共鳴周波数が存在し、普通の空気の場合は乗用車用のタイヤだと、250Hz付近になります。
ロードノイズに対してタイヤ内の空気が共振すると「ゴー」という音が増幅されるわけです。
この影響を取り除くために出来るだけ共鳴を高い周波数においやってやると、車内音は変化します。
これには、分子量の少ない気体を充填したり、数年前にオートメカニック誌でも紹介されたのですが、リム内部の形状をでこぼこにして、250Hz の振動モードを別の周波数にずらすという方法などもあるようです。

なるほどと思って理科年表で調べてみましたが、
乾燥空気の分子量は29、
窒素28
ってことでほとんど変わりません。

ところで、タイヤの気柱共振に関して、定在波として発生する振動モードの共振周波数は、タイヤ内の気体の音速に比例して変化します。
タイヤ内の状態とはずいぶん違いますが、 0°C、1気圧の各気体中の音速は、次の通りです。

空気 331.45m/s
窒素 337 m/s
酸素 317.2 m/s
ヘリウム 970 m/s

ヘリウムは吸ってしゃべると声が変わることからも分かるように突出した値ですが、空気と窒素なんてほとんど差がありません。
分子量もそうですが、こんな程度の差では人間の耳はおろか測定機で周波数を計測しても、その差は誤差の範囲になってしまいます。

やっばり気のせいじゃないの???



と、ここで、タイヤに窒素ガスって前にSJ提携工場の山真自動車さんが書かれてたような・・・と思って探してみたら、はい、ありました。
タイヤに窒素ガスは本当にメリットあるの?その1〜その3
流石まさみさん詳しいです。

で、この解説を読んでひらめきました。

水、そう空気中の水蒸気です。
窒素ガスと普通の空気を充填するのとの一番の違いは「湿気」なんですね。

水の分子量は 16 (窒素は28)、気体内の音速は、水蒸気 404.8 m/s (窒素 337 m/s) です。
なるほど、これくらい違うものが入り込んでいれば音が変わる可能性は十分あります。

つまり、湿気をおびた空気より乾燥空気(窒素) を入れたほうが、タイヤ雑音の周波数(音程)は下がるというわけです。

ただ、250Hz というのは、ほぼ正確に「ド」の音なのですが、風呂場の空気でも入れない限り、下がるといってもせいぜい「シ#」くらいになるかならないかといったところでしょう。
この違いが分かるかどうかは、ほとんど絶対音感の世界ですね。
私じゃ絶対わかりません。

おそるべしプロの耳!!ってのがどうも結論のようです。


by OZW


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