BlueTEC Hybrid
来年春以降に発売予定の次期Eクラス(W212)V6 BlueTEC Hybrid。 環境性能を前面に打ち出した車ですが、どれくらい売れるでしょうね? 「BLUETEC」というのは、ディーゼルエンジンの排出ガスに水溶性の尿素液を噴射してNOxを低減する仕組みのことですが、それ自体は2003年、日産ディーゼル工業がトラック向けに実用化し、欧州でも同様にトラック等の商用車に採用されている既存のシステムです。 Eクラスに搭載予定のV6 BlueTECエンジンでは、これを乗用車用に発展させて「尿素SCR」と呼ばれる選択式還元法を利用して窒素酸化物(NOx)を約80%削減することに成功したとされています。 2006年に施行された「EURO 4」と呼ばれる現在の欧州の排出ガス規制は既に、CO、HC、PM(粒子状物質)についてはかなり厳しく規制しているのですが、NOxの基準が北米の一部の州の基準と合わず2006年に北米で発売された「メルセデスベンツ E320 CDI」」は「BLUETEC」を名乗るものの、大市場であるカリフォルニア州やニューヨーク州を始めとする8州の排出ガス規制をクリア出来ず、それらの州での販売は不可能となっています。 これを受けて欧州でも今後2011年施行予定の「EURO 5」、2015年の「EURO 6」で、NOxの規制値が、0.25 -> 0.18 -> 0.08(g/km) と段階的に強化されていくことになっているのですが、アウディ、メルセデス・ベンツ、フォルクスワーゲンといったドイツ車メーカー勢が手を組んで、いわゆる「BLUETEC同盟」を結び、北米市場においてクリーンディーゼルを浸透させる目的もあって開発を進めてきたという経緯があります。 ところが、北米ではGM、クライスラーが破綻するという未曾有の経済危機の中で、環境なんかより目先の経済性のほうが重要になってしまった状況下では、完全に「BLUETEC同盟」の目論みは外れてしまっています。 加えてHybridの部分ではプリウスのレベルには到底届かず、かりにプリウスのシステムをそのまま積んだとしても、通常のガソリンエンジン車ですでに1700Kg以上の車重のあるこのクラスの車両では劇的な燃費効果は期待できず、この点でも購買意欲をかきたてることは難しそうです。。 実際トヨタでも、ハリアーHybrid や LS Hybridなどは燃費というより走行性能アップのためのHybridという位置づけですが、プリウス以外のHybridは全く売れていません。 前に書きましたが、現状、特に日本がそうなのかもしれませんが、Hybrid を買う人の大多数は別に環境性能なんかどうだってよくて、トータルコストでどっちが得かなんてことよりも、とにかく目先の燃費の良さに惹かれてHybridを選択しているとしか思えない節があります。 とすると、BlueTEC Hybrid 、環境派気取りの一部のドイツ人以外には受けないんじゃないでしょうか。 by OZW |