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直売所

特別なコネでもあれば別ですが、地域の特産品というのは、だいたいその地域で買うのが一番高くつくものです。
一見安そうに見えても、品質とその価格をよく見比べてみると、安物が安いだけだったり、いいものはかなり割高だったりします。
例えば韓国の高級青磁などは韓国が一番高くて、同じものを日本で買えばずっと安くなります。
ベネチアングラスなども高級なものはベネチアなんかよりミラノあたりのほうがずっといい買い物ができますし、もしかしたら日本で買ったほうがもっとお得かもしれません。
日本国内でも輪島塗の漆器などは名古屋のデパートの外商を通して手に入れたほうが現地で買うより2割くらいは安かったなんてことも実際にありました。

食品にしても、その産地でいいものを安くなんてのは普通はないわけで、たとえば魚介類なんて一番いいものは築地などに運ばれてきてしまいます。
ある有名なお寿司屋さんの大将が、本当に旨い寿司屋は圧倒的に都内に集中していると話していましたが、一番高く売れるわけですから、一番のネタは空輸してでも築地に集まってくるから、というのも理由の一つかもしれません。

もっとも、その築地にしても、やはり知り合いでもいない限りは、素人がいい買い物などできるはずもなく、安いものなら郊外のスーパーの特売を狙ったほうがお得ですし、いいものをというなら銀座のデパ地下で買ったほうか間違いがありません。

こんなことに気づいてしまってからは、旅の楽しみがひとつ減ってしまったのですが、それでも極稀にある例外を見つけられると嬉しいものです。



ここはその例外のひとつ。
福島県天栄村の村営直売所です。
農家の人たちが自分の畑や裏山で採れた野菜やキノコなどを持ち寄り、自分で値付けして店頭に並べます。
この日も朝行ったのですが、買い物している間に農家のおじいさんやおばあさんが次々に自分達の作物を持ってきていました。

この辺りには観光地と呼べる所が何もありません。
なので、この直売所の前の道路も観光客は通りません。
私も以前道に迷ってここに入り込んできて偶然見つけたくらいのところです。
お客さんはほぼ100%近隣の住人です。



朝採れ野菜や果物が市価の3分の1くらいで売っています。
見たこともないキノコや、いかにも自家製のパンケーキや大福餅など、なかなか購買欲を刺激してくれて、那須からは1時間近くかかるのに、こちらに来ると必ず立ち寄るお店です。


by OZW



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