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健康学園 その2


息子が宇佐美学園に通っていたときには、既に少子化の影響で3年生から6年生の4学年で定員80人に対して30数名しかいませんでした。
特に3・4年生は少なく1学年5〜6人、一番多い6年生でも10人くらいでした。
それに対し教師や寮のスタッフは総勢66名もいらっしゃいましたので児童一人に対して二人のスタッフが付く計算になります。
全員が寮生活で寮には24時間体制で看護師も常駐し、3食の給食はもちろん3時のおやつも全部管理栄養士さんの手作り、出来合いのものは一切出されませんでした。

教師は都内の公立小学校に勤務する教員の中から自ら志願したものが配属され、そのせいか若くて自然の中での教育に情熱をもった志の高い先生が集まっていました。
週末や祝日の非番でも子供たちをすぐ前の海に連れていき釣りを楽しんだり、裏山で昆虫採集をしたり。
上級生は下級生の生活の面倒を見、そこには他の学校でははるか昔に失われてしまった縦の関係がいい意味で残っていました。

毎朝の乾布摩擦とマラソン、自然に囲まれた環境で規律正しくものびのびとした生活。
そんな毎日の中で息子の喘息も随分と良くなり、5年生になる前に戻って来ることができました。
それだけでなく、ここでの生活で自立心も養われ、親も驚くほど心も体も大きく成長していました。
そのお蔭で息子は、中学になると学校見学と称し一人で世界を旅しはじめ、今年15歳になる前に、いくつか体験授業も受けてきた中から空気と女子が綺麗という理由で(?)NZのとある公立学校を自分で選んで新しい生活を始めています。
宇佐美学園の同級生たちも皆それぞれの道を確実に歩んでいる様子です。
早い時期に受験に追い込むよりもこういった全寮制の学校で生きる力を身に付けるほうが、長い目で見ればその子の人生にとってプラスになるのではないでしょうか。

その後、石原都知事によるディーゼル規制のおかげで都内の空気はへたな田舎よりよほど綺麗になったこともあってか、宇佐美のような健康学園に入る子供の数もさらに減り、昨日下の娘あてに届いた体験入学の案内には全校児童数は16人、募集要項には肥満や偏食などの改善になんてことも書いてありました。
要するに今は健康に問題がなくても誰でも入学OKということなんですね。

かつては23区のすべてがこういう施設を持っていました。
しかし、自治体の財政難と喘息児などの対象になる児童数の減少で、現在は7校が残っているのみです。
廃校となった多くの学校では、家庭に問題があるなどして子供の養育が困難であるという理由から子供を送り込む例が多く、逆に一般の家庭からは敬遠され余計に児童数が減少してしまったということもあったようです。
中央区の場合、保育所などが少なく子供に手をかけられない家庭にとっては暮らしにくい地域であることが逆に幸いしてか、そういった問題は少なかったように見えますが、少子化が最も進んでしまっている区のひとつでもあることから、親がひとりしかいない子供をなかなか手放せなくなっていることが入学者減を加速させてしまった原因になっているかもしれません。

いずれにしても年間数億円はかかるこれらの施設がたった10数人の児童では、このご時世ですから廃校は時間の問題かもしれません。
しかし、ある意味理想的な教育を行ってきたこの施設がなくなってしまうとしたら残念でなりません。

もし喘息気味の小学校3年生から6年生までのお子さんをお持ちの方は、東京中央区に住民票を移してでもここに通わせる価値はあると思います。
今月26日・27日に一泊2日の体験入園があります。
参加してみてはいかがでしょうか。

東京都中央区立宇佐美学園
〒414-0001 静岡県伊東市宇佐美545
TEL 0557-48-9025


By OZW



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