単位を揃えてみたら その3
放射能漏れ、いつまで続くの? まだ安全なの?それとももうヤバイわけ? 食品は?飲み水は? もう情報が錯綜して訳が分かりません。 そんなわけで、当事者の一方で働く教え子(技術者)に直接電話して聞いてみました。 結果、ようやく納得出来てすっきりしました。 現状政府は嘘はついてません。 御用学者と揶揄された専門家達も嘘は言ってません。 一方で、現状の汚染レベルでも十分に危険と主張している先生達も間違ってません。 ということは言えそうです。 メモをとりながら話してたわけではないので、具体的な数値は正確でないかもしれませんが、 まず、基準値に関して。 これ、3月17日にガラっと変わったんですね。 それまでは平時の国際基準を、17日以降は緊急時の国際基準を元に設定されてます。 前回、131-IのWHOの水質基準を見てびっくりしたと書きましたが、10Bq/Kgというのは平時の基準値で、同じWHOでも核爆弾が落ちちゃったとか、チェルノブイリの事故みたいなのが起きちゃったような場合の緊急時には、3,000Bq/Kgまで飲んでいいということになっています。 ほうれん草も、平時は10Bq/Kgですが、緊急時の国際基準は 3,000Bq/Kgです。 だから、政府の言う国際基準より厳しく設定した(水道水300Bq/Kg, 野菜類2,000Bq/Kg)というのも今は緊急時なんですからウソじゃないということになります。 ただ、ICRP(国際放射線防護委員会)がいう緊急時基準の想定は2日とかせいぜい数週間なので、今の緊急事態が数ヶ月とか数年続くと話は違ってくるとは思いますが。 ついでに、シンガポールなんかが日本の食品を全面ストップしたのは風評被害だなんて言ってるマスコミもありますが、今、日本は平時の基準じゃないんですから、ストップするのは当たり前で、そのことは日本政府も納得済みです。 日本だって今は131-Iだけで2,000Bq/Kgまでとしていますが、3月17日以前は、全核種合計でも 370Bq/Kg以上出た輸入野菜は全部輸出国に突き返していたんですから。 次に、被曝に関して。 これも数値の取り方によって計算結果がまるで変わってしまいます。 たとえば今は、ヨウ素131、セシウム134・137、それから極一部でプルトニウムくらいしか話に出てきていませんが、この他にもストロンチウムとか塩素38とか数多くの放射性物質が既に放出されているはずです。 でも、中には分析に数ヶ月かかるものもあって、今はまだよく分かっていません。 で、それぞれの核種毎に内部被曝の数値も異なるので、とりあえず全部足しておこうという学者と、チェルノブイリのときの標準値で計算しておこうとする先生と、分からないものは含めずに計算しましょうという専門家がいるわけで、厳し目に評価した場合とそうでない場合は、5倍以上の開きが出ます。 外部被曝についても室内と屋外では数値が異なるので、これをどう捕らえるかによっても計算条件が異なってきます。 半導体工場の無塵室のようなところなら10分の1以下、マンションなどだと3分の1くらい、古い木造建だと外とあまり変わらないようです。 最後に、危険の評価です。 都内に住む12歳未満の子供の晩発性発癌のリスクは、外気0.1μSv/hで、食品など現在の暫定基準ギリギリのものを1年間摂取したときに、上記の計算に使う数値を甘めにとった場合で 5,000人に1人、厳しい目に見積もると 1,000人に1人ということらしいです。 もともと日本人の半分くらいはガンになるそうですから、今回のことでガンになる確率が 50%からせいぜい50.01%になるだけ(ほとんど誤差の範囲だから全く安全)と考えるか、 ある地域の小学生が5,000人いて、そこに殺人鬼が無差別に5人の子供をナイフで刺しに来るという犯行予告がされた(そんなところには子供を通わせられない)と受け止めるか、 これは個人の主観の問題なのかもしれません。 ちなみに、「人にはお守りがあるから大丈夫」発言で有名になった松本先生ですが、とっても真面目で正直な先生だそうです。 東電からお金もらって(もらってるのは事実)何でもかんでも安全と言いふらしてるだけと叩かれてからTVに出なくなっちゃいましたが、この人もウソは言ってないようです。 例えば、東京の210Bq/Kgの131-Iの水道水に関して、その水を赤ん坊が一生飲み続けたって何も問題ない、って言ってましたが、「その水」というのはその日のその水そのもののことだそうです。 要するに131-Iの半減期は8日なので1ヶ月すればほとんどなくなってしまうわけで、そりゃあ一生飲み続けても平気ですよね。 こっちは日々汚染され続けて行くかもしれない210Bq/Kgの水を一生飲んでも大丈夫なのかと思っていたんで、前提とする常識がどうも違っていたようです。 でもこの業界ではそういう前提が常識らしいんで、視聴者をだまそうと思って言ったんではないんですって。 本当はアンカーの池上さんがそういうところをフォローしなきゃいけなかったんですが、この人も原発から10Km離れたところと30Kmの場所では放射線レベルが距離の二乗に反比例するんで9分の1になるなんてとんでもない勘違いをしてたくらいですから、この人に理科系の問題を扱わせたのがいけなかったようです。 池上シリーズでは間違いだらけの最低の番組でした。 By OZW |