ブレーキ
伝統的にメルセデスのブレーキは、純正ノーマルでも十分な効きを持っています。 高速域からの連続フルブレーキングでも音を上げない設計は、メルセデスでは半世紀も前からしていますが、これをクリア出来る国産車は今でも少数です。 その優れたブレーキシステムのパットだけを下手な社外品に換えるとロクなことになりません。 基本ダストの出ないパッドは効きませんし、メタル系のパッドはローターをすぐにダメにしてしまうので、初めは良くてもいざという時にまともに止まらない危険性があります。 キャリパーそのままならサーキットでも走らない限り、パッドは純正か純正OEM以外私は怖くてお勧めできません。 ところが、エンジンいじって、それに伴ってサスペンションも強化するとノーマルブレーキでは足りなくなってしまいます。 これ、以前から不思議に思っていました。 サーキットならストレートエンドで180km/hだったのが、200km/h以上になれば必要とされるブレーキの容量が変わってくるのは当然なのですが、ストリートで同じコーナーを同じように例えば100km/hから60km/hに減速して入っていく場合でも、エンジンとサスペンションの能力を上げたクルマではノーマルブレーキでは効かないブレーキだと感じてしまうのは何故なんでしょう? 単なる気のせいかもと考えたりしていたのですが、よく通る道でノーマル500Eを走らせてみて今さらというか今になってようやく分かりました。 500Eと私の60では、同じコーナー手前で同じスピードからブレーキをかけて同じスピードでコーナー進入して行っても、走らせ方が違っていたんです。 ちょんとブレーキ踏んでフロントに荷重かけてハンドル切りながら今度はアクセルを少し踏み込んでリアに意識を持っていきながらコーナーを回って行っていくのは、どっちのクルマでも基本同じなのですが、60のほうがブレーキで簡単に荷重移動が出来るので、ブレーキを踏んでいる時間が短いのと、コーナリング中の姿勢も安定している上にトルクもあるので、コーナー出口でのスピードが違っていました。 つまり、60のほうがより積極的にクルマの姿勢変化を利用して走っているので、これでブレーキだけノーマルだったらかなり欲求不満になりそうです。 要は止まるためというより、より荷重移動をスムースに行うために、加速(トルク)に見合ったブレーキ容量が必要だったということです。 そう考えると、エンジン、サス、ブレーキは総合的に考えて作り上げないと酷い車になり下がってしまうことが分かるでしょう。 一つずつ順にというのはまだいいとしても、コール地点を見失っているチューニングは絶対にやってはいけません。 この意味ではフルノーマルのままで乗るという選択は全然アリだと思いますし、自分の60が素晴らしくバランスの取れたチューニングが施されているのかが今回あらためてよく分かりました。 By OZW |