W124 500E ボディの亀裂 その2
つなぎ目全部を溶接してしまえば強度は出るかもしれませんが、でも出来るだけ溶接はしたくありません。 インサイドパネルの裏側、つまりエンジンルーム側にはエンジンハーネスをはじめいろいろな配線が走っているため下手な箇所を溶接すれば、それらを痛めてしまいますし、溶接箇所からは錆びも発生しやすくなってしまいます。 実は、最近の車はボディーの構造材を特殊なボンドで接着して作られています。 プリウスなどではフレームまで接着剤でつないでいるくらいです。 飛行機の機体では昔から接着剤が使われていたのですが、それらは温度が100度を超えると接着面の強度が極端に落ちてしまうことから、逆に温度の上がらない飛行機の機体部分にしか使えなかったとも言えます。 実際、飛行機でもエンジン部分は今でもリベット留めが主流です。 それが技術革新で熱に強い構造材接着用のボンドが開発され自動車メーカーがこぞってそれを導入し始めています。 今回は、その接着剤が入手できたので、それを使って補強することにしました。 先ずはフェンダーを外すと、どういうわけか中に土がいっぱい溜まっていました。 クーラントのキャッチタンク。 ドイツでは垂れ流し禁止の法令があるのですが、日本ではこのタンクは必要ありませんので外してしまいます。 土と合わせて 2Kg以上の軽量化になります。 今回は、単純な補修ではなく、せっかくなら出来るだけ補強して新車時以上の走りを実現したいという要望でしたので、レースなどではよく使われる手法として、上の写真のようなイメージで補強を施すことにしました。 補強板の接着面は、シーリングなどは全部取り除いた上に、地肌が出るまで研磨しておきます。 特注のステンレス板を自動車構造材用の接着剤で、一部は溶接、その他はリベットを併用して取付けていきます。 実は、えちごや皆口さんが、この接着剤の使用方法をわざわざ米国まで視察に行っており、本人は別に企業秘密にするつもりはないとは言うものの、やはり途中の作業風景はちょっと自主規制で割愛させて頂きます。 完成は、こんな感じです。 接着剤そのものが構造材となるくらいの硬化しますし、シーリングとなって防錆効果も持ちます。 これであと10年以上は余裕で持つでしょう。 試乗インプレはまた後日したいと思います。 By OZW |