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タイヤの進化 その1

 
以前ノーマル500Eなら純正レベ脚が一番と書いたことがあります。
もちろん6Lエンジンに載せ替えるなどした場合は全然話が違ってきますが、それは横に置いておくとして、ノーマル500に話を限定したとしてもタイヤを含めたトータルで考えないと駄目でしょう、とえちごや皆口氏から指摘されました。
つまり、この20年でタイヤは劇的に進化しており、当時の感覚でいえばノーマル500にスリックタイヤ履かせてサスはそのままで大丈夫なのか、みたいな話です。

そもそもハイパフォーマンスタイヤのグリップって昔と比べてどれくらい上がったのでしょうか?

先日ちょうどヨコハマタイヤの開発部の方にお話を伺う機会がありました。
20年前と比べれば、ウエット性能、静粛性、コントロール性、耐久性などのトータル性能は確実に進歩しているそうです。
でも、例えばドライ路面の直線で60km/hくらいからフルブレーキかけたときの制動距離は?と訊いてみると、意外にも何mもは違わないかもということでした。

ということは、ハイパフォーマンスタイヤのドライグリップは大して変わっていないってことですか?と訊ねると、そんなことはない、という返答です。

ちょっと話がややこしいので、ここからは私なりに理解した内容を書きますので、もしかすると間違いがあるかもしれません。

まず、グリップ力は、縦方向と横方向の合計で、それぞれトレードオフの関係にあります。
例えば、限界に近いコーナリング中だと、ちょっとブレーキやアクセルを踏んだだけで、リアが流れ出します。
これは、コーナーで横方向にグリップのほとんどを使っているので、ブレーキやアクセルなど縦方向に使えるグリップがわずかしか残っていないからです。




タイヤの話をするときには必ず出て来る摩擦円です。
逆に言えば、上の現象で縦横のグリップ力の合計がこの楕円の中に入っていればスピンしたりすることはないということです。

一般に摩擦円は真円で描かれることが多いのですが、実際には縦方向(この図では横軸方向)のほうがタイヤの構造上グリップ力が高いので、このような楕円になるはずです。(実際にはひし形に近い楕円だそうです)

さて、フルブレーキでの制動距離は劇的には違わないというのは、上の図でいうと横軸の長さは、もちろん長くはなっていますが、いうほど変わっていないということだと思います。
一方、縦軸は具体的な数値は聞けませんでしたが、20年前と比べると確実に長くなっているようでした。
昔は細長い楕円だったものがだんだん真円に近づいていっているというイメージでしょうか。
これはコンパウンドなどによる摩擦係数の違いというより、タイヤ全体の剛性アップによるところが大きいようです。

ゴム自体の摩擦係数は劇的には変わっていない。だから、制動距離もそんなには違わない。
ここまでは分かります。
それでは、摩擦係数がそんなに変わっていないのに、剛性が上がると、どうして横方向(縦軸方向)のグリップが大きくなるのでしょうか?

話しが長くなってきたので、これはまた明日にでも。



By OZW






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