業界の懲りない伝説
その人は、1970年代の第一次スーパーカーブーム時代に創業し、一世を風靡した老舗外車屋のオーナーです。 スーパーカーに興味を持ったことがある人なら一度はそのショップ名を聞いたことがあるはずというくらい有名なお店でした。 実際、80年代後半から90年にかけてのバブル期には、その知名度から全国からお客さんが買いに来て、ローン会社の社員がそこに出向してくるほどでした。 バブルが弾け、ぱったりとスーパーカーは売れなくなりましたが、それでも普通にポルシェやベンツを売り、たま〜に売れるフェラーリなどもあって奥さんともう一人親族らしい従業員を養っていくには十分な利益はあったようです。 そんなある日、たまたま私が遊びに行っていた豪快伝説の社長のところにその人は姿を現しました。 私が直接会ったのはその日が初めてです。 その人は私が居ることなんてまるで気にせず 「国税に追われてるんで匿ってくれ」 と言い出します。 脱税がバレたんだ。マルサじゃなくていきなり国税のGメンってことは相当額の脱税かな、なんて思いながら横で聞いていると、なんと創業以来一度も納税していないらしいんです。 そんなことがあり得るのか?と怪訝そうな顔の私に気づいたこのひと、 「だいたい節税とか脱税して作った書類を申告するからバレんだよ。俺みたいに最初から何も申告しなきゃバレないんだよ」 ってバレてるじゃん!! にしても確かに30年近くバレなかったのは凄いというか何というか。 「納税は国民の義務だろ。臭い飯食って出直せ。自分で出頭しろ」と諭されたその人、その後捕まったって話は聞いてないんだけど、逃げ切ったのかしらん? 最近またいい歳して詐欺っぽいことはじめたとかって聞いたけど、懲りてないみたい。 by OZW |